醜形恐怖症は、外見の異常へ過剰にとらわれ、心理的な苦痛を生じます。そして繰り返し自分の外見を鏡で確認したり、過剰な身繕いをするような強迫行為を伴います。さらに、先進国では美容整形手術の流行により、頻回に手術を受けることも認められています。とらわれる身体の部位は、毛・皮膚・鼻が半数を占め、ついで目・顔・体全体となります。
強迫行為を伴うことから、病因としてセロトニンの低活性が示唆されているため、SSRI.Serotonin Selective Reuptake Inhibitorの服用は推奨されます。ただし、醜形妄想へ至ると、ドーパミンの過活性も考慮されるため、SDA. Serotonin Dopamin Antagonist・セロトニン・ドーパミン拮抗薬の処方が検討されます。
思春期から青年期に発症、未婚女性に多いという報告があります。これは自己同一性障害Identity Disorderという精神病理が関与していることが想像されます。最近は高齢化社会において、Anti Agingとの兼ね合いで老いの受容も問題とされています。いずれの世代においても、自らをあるがままに受け容れることが、治療の目標であり、薬物療法のみでなく、心理療法が欠かせません。