中高年の性依存症とは、性的な行動や衝動を自分の意思でコントロールできずに繰り返してしまう状態を指します。これは強迫的な性行動(CSB: Compulsive Sexual Behavior)とも呼ばれ、日常生活や人間関係、仕事に悪影響を及ぼすことがあります。
1. 性依存症の特徴
中高年の性依存症は以下のような特徴を持ちます:
① 性的な衝動をコントロールできない
- 頭の中が性的なことばかりになり、やるべきことが手につかない
- 性的な行動をやめたいと思っても繰り返してしまう
② 性的な刺激を求めて行動がエスカレート
- ポルノ視聴、風俗利用、買春、マッチングアプリ、SNSなどの利用が増加
- 性行為の回数や過激な内容が増えていく
- リスクの高い性行動(不倫、職場や家族にバレる可能性がある行為)に手を出す
③ 生活や人間関係に支障をきたす
- 家庭の崩壊(離婚、夫婦関係の悪化)
- 仕事のパフォーマンス低下(業務中のポルノ視聴や不倫)
- 経済的な問題(風俗や出会い系への過剰な出費)
④ 罪悪感や自己嫌悪を抱くがやめられない
- 「やめよう」と決意するが、また繰り返す
- 罪悪感やストレスが増し、それを紛らわせるためにさらに性行動を求めるという悪循環に陥る
2. 中高年特有の性依存症の要因
中高年になると、以下のような要因が性依存症を引き起こすことがあります。
① ストレス・孤独感
- 仕事のプレッシャーや退職後の孤独感
- 配偶者との関係の変化(セックスレス、コミュニケーション不足)
- 子供の独立や家庭内での役割の変化
② 更年期の影響
- 男性ではテストステロンの低下による性的不安や衰えへの恐怖
- 女性では閉経によるホルモンバランスの変化
③ スマホ・インターネットの影響
- 24時間アクセスできるポルノやマッチングアプリ
- SNSを通じた出会いの増加
④ 若さを取り戻したい願望
- 加齢による自信の喪失
- 若い異性との交流を求めることで自己肯定感を得ようとする
3. どこからが「依存症」なのか?
性行動があっても、それが必ずしも「依存症」ではありません。以下の3つのポイントが当てはまると、性依存症の可能性があります。
✅ コントロールできない → 「もうやめよう」と思ってもやめられない
✅ 日常生活に支障が出る → 仕事や家庭、経済に悪影響を与えている
✅ 続けることで苦しみが増す → 行動後に罪悪感が強まり、精神的に追い詰められる
4. 治療や克服の方法
① 自己認識を深める
- 「なぜ自分はこの行動を繰り返してしまうのか?」と振り返る
- ストレスや孤独を紛らわせるために性行動をしていないか確認する
② 行動パターンを変える
- スマホのアダルトコンテンツを制限する
- 風俗や出会い系に使うお金を別の趣味や自己投資に回す
③ 心理療法・カウンセリング
- 認知行動療法(CBT)で「衝動」との向き合い方を学ぶ
- 性依存症専門のカウンセリングを受ける
④ パートナーや家族との関係を改善
- 夫婦で話し合い、互いの気持ちを理解する
- 夫婦関係の改善に向けて努力する(デート、会話の増加)
⑤ 依存症専門のサポートグループに参加
- SA(セックス・アディクツ・アノニマス)などの自助グループに参加する
- 同じ悩みを持つ人と話し、共感を得る
5. まとめ
中高年の性依存症は、ストレスや孤独、加齢に伴う不安が引き金となることが多いです。放置すると、家庭崩壊や仕事の喪失、社会的信用の低下につながる可能性があります。
もし「やめようと思ってもやめられない」「家庭や仕事に悪影響が出ている」と感じたら、早めに専門家に相談することが大切です。
また、根本的な原因を解決するために、ストレス対策や健康的な人間関係の構築を意識することも重要です。