LINE を使った受診日時のお知らせを一時的に休止しています。詳しくはこちらをご覧ください。

東京・銀座の心療内科・精神科・メンタルクリニック

オンライン
予約
お問い合わせ
アクセス
診療時間
精神医学

パーキンソン病と精神症状など

パーキンソン病は「筋固縮、振戦、無動」などの運動症状を主徴とする脳・神経の変性疾患です。


中脳黒質ドーパミン神経の変性により、大脳基底核のドーパミンが不足することにより生じます。ドーパミンが過剰により発症する統合失調症と対になる疾患です。ドーパミンを遮断する抗精神病薬の副作用にパーキンソン症状を生じることはこの病態生理に基づきます。統合失調症が青年期に発症するのに対し、パーキンソン病は老年期に発症することもドーパミン活性の過剰・欠乏と関係あることでしょう。


パーキンソン病は運動症状を主徴としますが、昨今、精神症状や自律神経失調症状なども呈し、これらの非運動症状が前駆症状として認められています。精神症状は不眠・不安・うつ、そして認知機能障害自律神経失調症状は便秘・倦怠・疼痛、排尿障害、起立性低血圧です。これらは「うつ病」の症状とも言えます。病因としてはドーパミンに加え、縫線核のセロトニン、青斑核のノルアドレナリンの不足が関与していると考えられています。その頻度は10-30%とされています。


ただし典型的なうつ病とは異なります。抑うつ気分はアンヘドニア(快楽消失)、アパシー(無気力)が目立つこと、不眠はレム睡眠行動障害が発病初期もしくは10年以上前から生ずることを特徴とします。このため高齢者にこれらの非特異的症状を認めた際はパーキンソン病へ移行することを懸念しなければなりません。

上記内容から示唆されることは、脳神経の変性疾患であるパーキンソン病と精神症状・精神疾患とが高い相関を示すことから、まだ明らかな原因不明とされている精神疾患も脳・神経の疾患であり、何らかの変性も生じうるということです。精神疾患より神経疾患の方が脳科学は進んでいるため、様々な知見が得られていますが、今後、精神疾患も明らかになり、より良い治療法が開発されることでしょう。

この記事は参考になりましたか?

関連記事

PAGE TOP