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精神医学

いじめの精神医学

いじめと精神医学:心への影響と治療法

いじめは単なる人間関係の問題ではなく、深刻な精神的ダメージを引き起こし、精神医学の観点からも重要な研究対象となっています。
いじめは被害者だけでなく、加害者や傍観者にも精神的な影響を与え、うつ病、不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害) などの精神疾患を引き起こす可能性があります。


1. いじめ被害者の精神医学的影響

いじめを受けた人は、強い心理的ストレスにさらされることで、さまざまな精神疾患を発症するリスクが高くなります。

(1) うつ病

  • いじめによる自己肯定感の低下持続的なストレスが原因となる。
  • 症状:
    • 抑うつ気分(悲しみ、無気力、興味の喪失)
    • 自己否定感(「自分は価値がない」「生きている意味がない」)
    • 食欲・睡眠の異常(過食・拒食、不眠・過眠)
    • 自殺願望(重症の場合)

(2) 不安障害(社会不安障害・パニック障害)

  • いじめによって「また傷つくかもしれない」という恐怖感が続く。
  • 症状:
    • 人と話すことへの極度の不安(学校・職場に行けなくなる)
    • 過度の緊張(動悸、発汗、震え)
    • パニック発作(突然の息苦しさ、めまい、死の恐怖)

(3) PTSD(心的外傷後ストレス障害)

  • いじめが長期間続いた場合や、特に強いトラウマ体験をした場合に発症しやすい。
  • 症状:
    • フラッシュバック(いじめの場面が突然よみがえる)
    • 回避行動(いじめに関連する場所・人を避ける)
    • 過覚醒状態(ちょっとした刺激で驚く、怒りっぽくなる)

(4) 解離性障害

  • 強いストレスから逃れるために記憶の喪失意識の分裂が起こる。
  • 症状:
    • 記憶が抜け落ちる(いじめの記憶がない)
    • 自分が自分でないような感覚(離人症)
    • 多重人格(解離性同一性障害)

(5) 適応障害

  • いじめによるストレスが強すぎて、日常生活に適応できなくなる。
  • 症状:
    • 強い不安、抑うつ状態
    • 社会的な孤立(引きこもり)
    • 突然の怒りや攻撃的な行動

2. いじめ加害者の精神医学的背景

いじめの加害者も、心理的・精神医学的な問題を抱えていることがあります。

(1) 反社会性パーソナリティ障害(ASPD)

  • 特徴:
    • 他者への共感が欠如し、罪悪感がない
    • 支配欲が強く、攻撃的
    • 法律違反や暴力行為が増える傾向

(2) 境界性パーソナリティ障害(BPD)

  • 特徴:
    • 感情が極端に変わりやすい
    • 他人を理想化・否定のどちらかに極端に分ける
    • 見捨てられることへの強い恐怖

(3) 自己愛性パーソナリティ障害(NPD)

  • 特徴:
    • 「自分は特別だ」と思い込み、他者を見下す
    • 承認欲求が強く、権力を誇示する
    • いじめを通じて優越感を得ようとする

(4) 幼少期のトラウマ

  • 加害者自身が過去に虐待やいじめを受けていた場合、「いじめの連鎖」が起こることがある。

3. いじめの傍観者の心理的影響

いじめを目撃した人も、精神的な負担を抱えることがあります。

(1) 傍観者ストレス

  • いじめを見ているだけで罪悪感や不安を感じる。
  • 助けたいけど怖い → 葛藤やストレスの蓄積

(2) モラル・ジレンマ

  • いじめを止めなかったことへの自己嫌悪 → 抑うつ状態
  • 「自分も標的になるかも」という恐怖 → 不安障害

4. いじめによる精神疾患の治療法

いじめが原因で精神的な問題を抱えた場合、精神医学的な介入が必要になることがあります。

(1) 薬物療法

  • うつ病・不安障害 → 抗うつ薬(SSRI, SNRI)
  • PTSD → 抗うつ薬、抗不安薬
  • 解離性障害 → 安定剤、抗精神病薬(必要に応じて)

(2) 心理療法

  • 認知行動療法(CBT)
    • いじめによるネガティブな思考を修正し、前向きな思考へ導く。
  • 暴露療法(PTSDの場合)
    • フラッシュバックのトラウマを克服する。
  • EMDR(眼球運動によるトラウマ療法)
    • いじめの記憶を脳内で処理し、トラウマ反応を和らげる。

(3) 社会的サポート

  • 学校・職場での環境改善(いじめ防止対策)
  • カウンセリングや相談窓口の活用
  • 信頼できる人との交流(孤立を防ぐ)

5. いじめの精神医学的アプローチ:まとめ

✅ いじめ被害者

  • うつ病、不安障害、PTSD、解離性障害を発症するリスク
  • 自己肯定感の低下・社会的孤立が進む
  • 早期の治療と心理的サポートが重要

✅ いじめ加害者

  • パーソナリティ障害やトラウマが背景にあることも
  • 共感性の欠如・攻撃性の強さが関与
  • 教育・環境改善で予防が可能

✅ いじめ傍観者

  • ストレス・罪悪感を抱えやすい
  • 精神的な負担が続くと抑うつや不安につながる
  • 助けを求める環境づくりが大切

🌟 結論

いじめは精神医学的に見ても、深刻な心理的影響を引き起こす問題です。
特に被害者は、早期の治療とサポートを受けることで、回復の可能性が高まります。
精神医学的な介入(心理療法・薬物療法)と、社会的なサポートを組み合わせることで、心の傷を癒し、回復への道を開くことができます。

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    1. (1) うつ病
    2. (2) 不安障害(社会不安障害・パニック障害)
    3. (3) PTSD(心的外傷後ストレス障害)
    4. (4) 解離性障害
    5. (5) 適応障害
  • 2. いじめ加害者の精神医学的背景
    1. (1) 反社会性パーソナリティ障害(ASPD)
    2. (2) 境界性パーソナリティ障害(BPD)
    3. (3) 自己愛性パーソナリティ障害(NPD)
    4. (4) 幼少期のトラウマ
  • 3. いじめの傍観者の心理的影響
    1. (1) 傍観者ストレス
    2. (2) モラル・ジレンマ
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    1. (1) 薬物療法
    2. (2) 心理療法
    3. (3) 社会的サポート
  • 5. いじめの精神医学的アプローチ:まとめ
    1. ✅ いじめ被害者
    2. ✅ いじめ加害者
    3. ✅ いじめ傍観者
    4. 🌟 結論
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