無形資産;時間・健康・人間関係
そして人生を充実させるため
人生後半のテニスとは?
目次
- プロスポーツ選手の平均引退年齢
- オリンピアンのキャリアに関する実態調査
- ATP No.1 西暦(初) 引退 年齢 Episode
- Episode 光と影
- 人生100年時代
- 心身の加齢変化
- テニス戦略
プロスポーツ選手の平均引退年齢
怪我や体力の限界によることが多い、しかし、事前にセカンド・キャリアを考えているスポーツ選手は少ない・・・
オリンピアンのキャリアに関する実態調査 2014年度 調査報告書
・回答数;473人(313人 1回、149人 2回以上出場)
・競技開始年齢;13.3歳
・大会出場まで ;全体 10.0年間 男性 9.7年間 女性 10.7年間
・年間必要経費;夏季男性 206万円 < 夏季女性 251万円
冬季男性 245万円 < 冬季女性 461万円
・引退年齢 ;全体 29.9歳 男性 31.1歳 < 女性 26.9歳
・引退後の職業;約3割は競技関連に従事、約2割は関わっていない
競技を開始した要因
身体活動が好きだから(59.0%) > 当該競技への興味(56.1%) > 勝負が好きだから(42.6%)
すなわち「内発的動機づけ」が高い
競技を継続した要因
競技へ挑戦と目標達成(74.8%) > 競技技術や身体能力の向上(56.7%) > 競技が楽しい(51.8%)
逆に、収入が得られる・名声を挙げたい、などは挙げられず、「外発的動機づけ」は低い
競技を引退した要因
競技はまだ楽しく、自己の成績にも満足していないが(内発的動機づけは維持されている)、
体力的に限界を感じる、仕事を優先せざるをえくなったため、という「外発的動機づけ」に
よることが想像される
オリンピアンの現職と雇用形態
現職の入職経路
・縁故(友人・知人を含む)(35.4%) >> 前職(8.8%) > 学校(7.7%) >>> その他(自営など)(40.7%)
現在の年収
・300万円未満(19.1%) > 300-450万円(14.4%) >
450-600万円(14.1%) > 1200万円以上(13.0%)・・・
すなわち、国民全体の平均給与(国税庁2014)と同等である
競技との関わり
・約3割は競技関連に従事
・約2割は関わりない
アスリートのキャリア
「アスレティック・アイデンティティ」(競技の成功により構築される自己像)の肥大
→引退後の人生を考えられなかったり、引退後の喪失感が大きくなったりする
→心理・精神的な問題を生じたりすることもある、このため・・・
「キャリア・トランジッション・プログラム」の構築が求められている(諸外国オリンピック委員会)
・タイム ; 選手寿命延長に伴い、就労・結婚、女性は出産・育児の準備をする余裕ない
・コミット ; 現役時代には競技以外のことを考える余裕ない
・キャリア ; セカンドキャリアにおいて、同世代の就労者に比較し、知識・経験に劣る
競技人生を「登山」に例えるならば・・・
「高い山に登れば登るほど、下りるには時間と労力を要する」(中込四郎)
「正しく悩むための、ツールやリソースを得ること」(田中ウルヴェ京)
“The Challenge is not only to pursue excellence,
but to do so without destroying the rest of your life” (Terry Orlick)
光と影
ボルグは1983年、トーナメントの過密さに反抗、26歳の若さで突然の現役引退を表明した。1987年、国際テニス殿堂入り。1990年、ウッドラケットで現役復帰を試みたが、失敗した。私生活では、1980年にテニスプレーヤーのマリアナ・シミオネスクと結婚するも離婚。引退後下着ブランド事業の失敗など数多くのトラブルを生じた。大量服薬(自殺企図)も行った。
ベッカーは2015年、負債超過となり、2017年、破産宣告された。しかし、資産を引き渡さなかったほか、隠蔽、資金移動、財産開示不履行など、計4件について有罪判決を下された。2022年4月29日、禁錮刑2年半の有罪判決が言い渡され収監された。
平均寿命の推移(1965-2015)
・日本の2007年生まれの子どもの半数は、107歳まで生きうる
・日本(平均寿命世界1位)をグラフ化すると、平均寿命は2年毎に平均2-3年上昇している
・現在50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代を過ごす可能性が高い
・ただし介護を必要としない「健康寿命」が重要と考えられる
・そのためには老年期の生活を支える有形資産と新たな労働市場(AIなど)に対応する柔軟性や創造性が求められる
人生における新しい3ステージ
1. エクスプローラー ;多くの人々と苦楽をともにし、自分の人生を模索する、アイデンティティの確立
2.インデペンデント・ワーカー;敢えて大組織に所属せず、自由と柔軟性のもと、試行錯誤を得ながら、今後の働き方を模索する
3.ポートフォリオ・ワーカー;生活・仕事および地域活動・ボランティアなど地域社会へ還元する利他的な活動
無形資産の重要性
- 生産性資産: 仕事に役立つ知識や経験、共感性・柔軟性・創造性など
- 活力資産 : 健康・家族・友人など、身体的・精神的健康、幸福感
- 変身資産 : 変化に応じて自分を変えていく力
自分を知ること(洞察)多様な人間関係(人脈)新奇探求性
筋力の加齢変化
20代をピークとし、55歳頃から急激に減少する・・・
生理機能の加齢変化
心肺機能は45歳から、腎機能は55歳から低下する
認知機能の加齢変化
「遂行機能」「判断力」;早期より低下する
「言語能力」;70歳頃まで比較的保たれる
「記憶力」 ;「ワーキングメモリー」は55歳頃から低下する
「記憶力」 ;「エピソードメモリー」は70歳頃まで保たれる
健康寿命
フレイルとは、
Frailty(虚弱)の日本語訳、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態、高齢者において生理的予備能が低下し、要介護の前段階に至った状態
ロコモとは、
ロコモティブ・シンドローム Locomotive Syndrome 移動するための能力が衰えた状態
サルコペニアとは、
ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarco)筋肉」と喪失を意味する「ペニア(penia)喪失」を合わせた造語
主に加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態と定義されており、「加齢性 筋肉 減弱 現象」とも呼ばれています
百寿者研究
百寿者の統計
2021年;8万6千510人、女性88%
2047年;50万人、2049年;65万人?
百寿者の身体
動脈硬化が少ない、糖尿病が少ない
栄養状態は低い、炎症反応が高い
余命を決定するのは「フレイル」
百寿者の精神
開放的(男性)
開放的・外向的・誠実(女性)
男女とも「幸福感」が高い、「個人的(金・名誉)」などより、「超越的(時間・空間)」などへ興味・関心を抱いている
炎症マーカー(CRP)が余命と関連
CRP. C-Reactive Protein;身体の炎症や組織の破壊が起きた時、血中に現れる物質、加齢に伴い上昇する、生活機能や認知機能とも負の相関、百寿者の直系子孫も、低く抑えられている
百寿者に特徴的なテロメア長
“telomere”はギリシア語で「末端」を意味する τέλος (telos) と「部分」を意味する μέρος (meros)から作られた用語である
一般の高齢者は加齢に伴い、染色体の末端のテロメアは徐々に短縮するけれど、百寿者および直系子孫はテロメアが長く保たれ、実年齢が80歳代でも、60歳代の平均値に匹敵する長さを有している
人生100年時代のテニス戦略
・テニスにより心臓・血管障害(心筋梗塞・脳梗塞など)による死亡が47%減少した
・テニス1時間おける走行距離、上級者;3569m、初中級者;3174m
・ランニングより、ゲームを伴い、ボールを追いかけ、走る楽しさ
・特に、下肢・筋力が増加する、骨密度も増加する
・有酸素運動のため、体脂肪が低下する
・対人関係を有するため、社会性が保たれる
・特にダブルスは、ゆっくり楽しみながら行える
・テニスは最も長生きできるスポーツらしい・・・