DUP. Duration of Untreated Psychosis
精神病未治療期間、陽性症状を生じてから治療が開始されるまで
統合失調症をはじめとした精神病における顕在発症から精神科において治療が開始されるまでの期間を「精神病未治療期間(DUP. Duration of Untreated Psychosis)といいます。
ARMS. At Risk Mental State(精神病発症危険状態)とは、精神病発病へのリスクの高い状態を意味します。 一見軽症で、注意深く診察しないと一般的なうつ状態などと鑑別できない。 精神科診療所へはうつ状態や不眠、不安などを主訴とする患者が数多く受診しています。
1 次予防;発症予防、疾患教育、ストレスチェックなど
1.5次予防;ARMSの段階にて顕在発症を防ぐ試み
2 次予防;早期発見・早期治療
国内の調査においてDUPは、中央値4-5カ月、平均値18-20カ月であり、幻覚・妄想などの精神病症状が生じながら、数カ月間、精神科を受診しないでいるということは、身体疾患と比較すると、異例なことと言えるでしょう。その背景には、幻覚・妄想などが、本人・家族に病気であるという認識がないこと、あったとしても、偏見・差別を恐れ、精神科の受診を控えているということが想像されます。
DUPは精神病の予後に与えます。DUPが短いほど予後は良好となります。顕在発症までの期間が1ヶ月以上におよぶ「潜行発症群」は「急性発症群」に比べ、DUPが長く、治療開始の遅れが長期にわたり、機能レベルに影響をおよぼすことが知られています。今後、治療が遅れる「潜行性発症群」をより早期に発見し、有効な治療につなげる方法が統合失調症の予後を改善し、十分な回復に導くために不可欠であると考えられています。