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精神医学

DOHaD(ドーハッド)Developmental Origins of Health and Disease

「Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD:健康と疾患の発生における発達起源説)」

胎児期や乳児期などの初期発達段階の環境が、生涯にわたる健康や疾患リスクに影響を与えるという考え方です。

基本のポイント:
起源:1980〜90年代、イギリスの疫学者デヴィッド・バーカーが提唱。低出生体重児が成人後に心疾患や糖尿病になりやすいという研究結果が発端。

主張:妊娠中の栄養状態やストレス、環境要因が胎児の遺伝子発現や臓器形成に影響 → これが将来の生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病など)のリスクを左右。

エピジェネティクス:環境によってDNAの働きが変化(遺伝子配列は変わらず)するメカニズムが関与。

具体的な研究例
オランダ飢饉研究:​第二次世界大戦中の1944〜1945年にオランダで発生した飢饉の際、妊娠中の母親が栄養不足に陥りました。この時期に胎内にいた子どもたちは、成人後に肥満、糖尿病、心血管疾患のリスクが高まることが報告されています。​

ジャマイカの研究:​妊娠中の母親の栄養状態が子どもの血圧に影響を及ぼすことが示されました。具体的には、妊娠中の母親のヘモグロビン値と体脂肪率が、子どもの将来的な血圧と関連していることが明らかになりました。​

ボガルーサ心臓研究:​米国ルイジアナ州ボガルーサで行われたこの長期疫学研究では、子どもの頃の心血管リスク因子が成人期の心疾患リスクと関連することが示されました。​

日本におけるDOHaDの動向
日本では、低出生体重児(2,500g未満)の割合が近年増加しています。​1980年には5.2%だった割合が、2010年には9.6%に上昇し、OECD諸国の中でも高い水準となっています。​この増加の要因として、母親の高齢化や若年女性の痩せ傾向、妊娠中の体重増加抑制などが指摘されています。 ​

また、日本の研究者たちは、DOHaD仮説に基づき、胎児期や乳児期の環境が成人後の健康に与える影響を解明するための研究を進めています。​これらの研究は、将来的な生活習慣病の予防や健康増進に寄与することが期待されています。​

さらに、妊娠中の母親の栄養状態や生活習慣が子どもの将来の健康に影響を及ぼすことから、妊産婦への適切な栄養指導やサポートの重要性が再認識されています。​

これらの研究や動向は、日本における公衆衛生政策や医療現場での取り組みに大きな影響を与えており、今後もDOHaDに関する研究とその応用が進展することが期待されています。

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