DMN. Default Mode Network(デフォルト・モード・ネットワーク)とは、特に何も考えず、ぼんやりとしている時の脳・神経の状態をいいます。自動車やバイクのアイドリング状態に例えられます。これが脳・神経、精神の健康に重要であることが最近相次いで報告されています。Mindfulnessのような瞑想・坐禅もこの状態に至ることを目標とされ、脳活動ではα波にあると考えられます。通称;Monk Mode(僧侶のモード)。
なぜ健康に良いのか、それは日常の多忙な時は脳・神経が興奮しており、これが続くと疲労困憊に至るからです。脳活動ではβ波に相当します。不安の強い方は常に脳・神経が働いていることでしょう。これは長く続きませんから、不安うつ病と言われる深刻な病態に至ります。通称;Monkey Mode(猿のモード)。
瞑想・坐禅の基本は、調身・調息・調心です。すなわち、姿勢を整え、呼吸を整えることで、心が整います。姿勢や呼吸は人間か意識的に調節できる行為であり、深呼吸・腹式呼吸・丹田呼吸により、DMNに至り、結果、脳・神経および心臓・循環器などに副交感神経優位のRelaxした状態を得ることができます。
DMNを活用した心理療法として、まず「森田療法」が挙げられます。入院・森田療法では初期7日間は「絶対臥褥」といい、半強制的に寝たきりにさせます。これによりDMNが賦活され不安にさいなまされていた患者さんは「生の欲望」に目覚めます。同じく日本の心理療法である「内観療法」も「集中内観」とし、1週間こもり内観三項目を調べます。終えると「感謝報恩」に目覚めるのですが、これもDMNの賦活によると考えられます。
海外へ目を転じると、ユダヤ人は、毎週、金曜日没から土曜日没まで、一切の活動を停止する「安息日」を設けています。その間は電気も止め、人々は休みます。これによりDMNが賦活され、平安が宿り、信仰も深まるのでしょう。さらにユダヤ人は大変優秀な民族であることは有名です。数多くのノーベル賞・受賞者、起業家、芸術家を輩出しています。民族のDNAも去ることながら、安息日による脳・神経の賦活も要因として指摘されています。
私たち日本人が学ぶべきは、古来の森田療法や内観療法の治療機序を思い返し、瞑想・坐禅を行うべき時間とこころの余白を作ることでしょう。それにより不安うつ病の頻度は減り、日本社会に平穏な日々が訪れ、さらに生産性の向上につながることを期待する次第です。