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精神医学

5月病・6月病

こころの病は季節により移ろいます。病に至らずとも、気分は春夏に高ぶり、秋冬に沈みます。稀に逆になる方もいらっしゃいます。いずれにおきましても、人も生物として、季節・気象・天候の影響を少なからず受けるものです。

「5月病」とは、日本特有のこころの病です。4月入学・入社した若い方々が新しい環境に慣れようと頑張り、5月の連休でひと休みしたところ、連休明け、気が沈み、通学・通勤困難に陥る現象です。うつ状態の程度により、適応障害、うつ病と正確な診断は異なりますが、昔から「荷下ろしうつ」という精神病理が指摘されています。何らかの大きな仕事を終えた後、虚脱感からうつ状態に至る現象です。「5月病」の背景にはこのような病態が想定されます。新入社員でなくても、転勤や異動などにて、4月より新しい職場へ移った社員の方でも、同様の病状を呈することは十分にあります。

不眠・食欲不振を呈するうつ状態の場合は精神科を受診し、薬物療法を受けましょう。それほどでもない場合、まず自分の状態、気分・思考(認知)などをノートへ書き出しましょう。どのようなことから自分の気が沈んでいるのか調べます。新しい学校・会社・職場に合わないと感じているならば、具体的にどのようなところが合わないのか調べます。書き出してみると、おのずと原因が分かり、対処法も見つかるでしょう。

「6月病」とは、気象病です。5月は「五月晴れ」というように晴天が多く、気温も程よく、一年の中でも過ごしやすい季節です。ところが6月に入ると一転し、「梅雨」に入ります。雨天/低気圧はうつ病の方々が最も苦手とする天候です。これが毎日続くのですから、気が滅入ります。朝から雨が降り、満員電車に濡れた傘を持ち込み、乗車することを想像すると、それだけで気分が悪くなりますね。また、5月病に続き、6月も新しい環境に慣れない新入生・新入社員は気疲れを覚える時期でもあります。このため、6月はうつ状態の生じやすい月と言えます。

上記の通り、不眠・食欲不振を呈する場合は精神科を受診し、薬物療法を受けましょう。それほどでもない場合は、気象や天候は変えられないと諦めましょう。そして梅雨明けを待つことです。諦めるというと無力感を覚えるかもしれませんが、「諦観」という概念があります。これは変えられない現状や環境を潔く「受け容れる」という、対処法の一つです。そして、梅雨が明け、夏になったら何をしようか想像します。楽しいことを思い浮かべることで、気持ちは軽くなります。

梅雨は都会の人々には鬱陶しいものですが、田舎で農業に携わる人々には「恵みの雨」です。雨のお陰で稲をはじめ、田畑の作物は育ちます。そして山に降る雨は伏流水となり、都会の人々の飲料水になります。筆者は研修時代を信州の山中で過ごしましたが、雨の降るたび、山の緑が深くなることに感動しました。雨は恵みであり、命の水となる、かけがえのない資源です。このような考え方は認知再構成・リフレーミングと言えます。

日本は世界でも類を見ないほど「四季」に恵まれた国です。春夏秋冬、晴れや雨も、暑さや寒さも、「自然」として受け容れ、楽しむこころの余裕が望まれます。

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