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精神医学

高機能・自閉症の4タイプ

「自閉症」とは、自閉・固執、敏感・鈍感を主徴とする発達症です。「高機能・自閉症」とは、IQ>70、精神遅滞を伴わない自閉症であり、いわゆる「アスペルガー症候群」に相当します。伴う場合は「カナー症候群」と区別します。高機能自閉症・アスペルガーアスペルガー症候群は、さらに4タイプに大別されます。必ず4つ分類される訳ではなく、それぞれの要素が混合している場合も多いです。同症を理解するための分類です。

孤立型
孤立・孤独、共感欠如、自立困難、例;映画「レインマン」
自閉症の典型例、周囲と関わることなく、自分の世界に安住します。学校や会社では黙々と勉強や仕事をこなし、それなりの成果を上げますが、学校の行事に参加したり、会社や同僚のために協力することは少ないです。記憶力に優れことがあるため、資格を取得し、専門職として活躍することがあります。

受動型
従順・丁寧、仕事熱心、まれに激昂、日本の女性症例に多い
日本女性の古典的なイメージ通り、おとなしく、組織や集団の規範に従順で、会社の事務など定型業務にて重宝されます。妻としても夫や家庭に尽くし、良妻賢母と称されることもあります。ただし、自閉症・固執により、自分の「こだわり」に反すると激昂することがまれにあり、周囲はビックリします。

積極・奇異型
自分の興味に熱心、猪突猛進、注意欠陥障害の併発
典型的な自閉症との違いは他者との関わりです、自分の興味に熱心で、他者に関わり、巻き込みます。ユニークではありますが、巻き込みがすぎると周囲は困り、クレームが発生します。注意欠陥障害・ADHDを併発していることも多く、落ち着きなく、一人で大騒ぎします。さらにミスも多いため、転職を繰り返すことがあります。

尊大型
尊大・冗長、自己主張、激怒する、反抗挑戦性障害の併発
唯我独尊、ナルシストに多いです。自己愛性人格障害や反社会性人格障害はこのタイプが思春期・青年期になり、顕在化した人格かもしれません。自閉症の特徴とし、話しが冗長・迂遠であり、聞き手を考えず、独演します。会話は「キャッチボール」と言われるように、話し手と聞き手が相互に意見を交換することが基本です。しかし尊大型は自分だけが一方的に話し続けます。職場や集団では周囲が困ります・・・

以上、高機能・自閉症の4タイプを紹介しました。以前は学校で問題となる児童を支援するため提唱された概念ですが、「大人の発達障害」が有名になり、職場で問題となる職員を理解するため、昨今注目されています。重要なことは「疾患」「障害」であり、本人は意図して行なっているわけではないことです。

反抗挑戦性障害や反社会性人格障害は犯罪を行い、少年院や刑務所へ収監されることもありますが、「高機能・自閉症」がある場合、責任能力を巡り、今後司法において議論を招くことでしょう。私論では了解不能な凶悪犯罪を行う人物には少なからずこのような精神病理があり、幼少期・思春期に理解されず、孤立を深め、他人や社会を恨むようになり犯罪に至るのです。

社会に必要ことは、「高機能・自閉症」を理解し、適切な支援を行う姿勢です。本人は病識に乏しく、責任転嫁することも少なくありませんが、少なくとも支援者は忍耐強く、支援・協力に努めることです。それこそが「社会的包摂、Social Inclusion」という、これからの日本社会が目指す理想像にほかなりません。

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