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精神医学

非定型精神病

精神分裂病(統合失調症)躁鬱病(双極症)の両方の要素を含み、どちらにも当てはまらない非定型群をドイツと我が国で非定型精神病 atipische Psychose と呼称しました。のめり込みやすい性格の人物が誘因の後、急性の症状を呈し、短く多彩なエピソードを繰り返します。そのたびに回復しますが、残遺状態になりません。脳波以上、記憶消失を認めることもあり、間脳・下垂体の機能低下も推定されます。英語圏では統合失調感情障害 shizoaffective disorder と呼称し、一つのエピソードに統合失調症と感情障害の症状が同時に起こります。


診断基準案
A:精神的に健康な状態から、突然、精神病症状(B症状)が発現し、顕在化まで2週間以内であること、B症状の発現前に前駆症状(不眠、不安)が出現することがある
B:次の3つの項目のうち少なくとも2つの症状が同時に起こること
 1.情緒的混乱
 2.困惑、および記憶の錯乱
 3.緊張病症状、または幻覚、または妄想
C:障害のエピソードの持続期間は、3ヶ月未満で、最終的には病前の機能レベルまでおよそ回復すること、3ヶ月後に診断確定となるが、それまでは疑いとする
D:物質または一般身体疾患の直接的な生理学的作用による障害は除外とする

用語解説
情緒的混乱;至福感や恍惚感、著名な不安、著名な易刺激性
困惑、および記憶の錯乱:当惑、困惑、人物や場所の誤認、思路の錯乱、エピソード後に健忘を残すことがある、多形性に現れる
緊張病症状;以下のうち少なくとも一つの症状が認められる
 1.カタレプシーまたは昏迷として示される無動症
 2.過度の運動活動性
 3.極度の拒絶症あるいは無言症
 4.常同姿勢、常同運動、顕著な衒奇症、顕著なしかめ顔などとして示される自発運動の奇妙さ
 5.反響言語または反響動作

下位項目
1.著明なストレス因子
2.遺伝負因
3.前駆症状

症例48歳、女性
裕福な家庭に育ち、真面目で思い込みの強いところがありました。大学卒業、商社勤務、28歳、結婚退職。30歳、産後うつ病にて顕在発病、回復後も何か足りないという不全感を覚えていました。48歳、世界の終わりを予感する、皆が自分を噂している、誰かに操られているような感覚がする、もう生きていられないと涙を流し叫ぶため、家族に連れられ救急受診。注射剤により鎮静化。健忘を残すものの、3ヶ月ほどで速やかに回復しました。

症例;50歳、男性
もともと几帳面、物事にのめりやすい性格でした。24歳時、失恋を誘因にうつ病となり1ヶ月間の休職療養を要しました。その後も不安うつ状態は遷延し、神経症性うつ状態が続きました。35歳頃より多弁・多動、易刺激性、飲酒量の増加、さらに家族への被害妄想を抱き、暴行事件にまで至りました。情緒的混乱は数年おき、何らかの誘因の下、起き、健忘も伴いました。


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