拒食症や過食症は摂食障害と言われる病気で、10代~20代の女性にしばしば起こる病気です。かなり食べなくなる拒食症と、大量に食べて吐く過食症とは交互に生じることがあります。両方とも根底に「太りたくない」という肥満恐怖と「痩せた体のみ美しい」というボディイメージの障害があります。
拒食症が進行すると体重は40kg、30kgまで落ち、月経が停止し、生命の危険を生じることもあります。しかし本人はそれでも太りたくないと思い、拒食を続けます。一方、過食症の場合はイライラした時に大量に食べることで一時的な快感を覚え、その後、太りたくないという思いから自分で吐いたり、下剤を乱用したりします。
明らかな原因は不明ですが、うつ病や不安障害と同様に、脳内のセロトニンという神経伝達物質の異常が示唆されています。したがって、治療においてはSSRIというセロトニン活性を補う薬が効果あります。さらに平行して認知行動療法や家族療法を行う必要もあります。
摂食障害になる方は幼少期に両親から適切な愛情を受けられなかった方が少なくなく、思春期以降にも親子関係に葛藤を生じがちです。そして本人も禁欲的になりすぎたり、反対に快楽を求めすぎたりすることがあります。このためご両親も交え、本人・家族の認知・行動、関係性などを見直すことが望まれす。
自助グループも有用です。国内には NABA (Nippon Anorexia Bulimia Association) という団体がありますので、同じ病気を持つ仲間の存在を知り合い、助け合いながら治してけると良いでしょう。このように摂食障害はある意味で育ちの病でもありますので、一人で悩まれることなく、家族や友人などの協力を得て回復していくことが理想的です。