認知行動療法とは、認知(情報処理)や行動の変容により、認知・行動、生活習慣はもとより、気分・意欲、病前性格の改善も目標とした心理・社会的な治療法です。
脳(心こころ)の内側
気分:単語一つで表せられる、 例:喜び、怒り、哀しみ
認知:断言により表せられる、 例:だろう、…だ、べき
脳(心こころ)の外側
身体:自然に生じる体の反応、例:頭痛、動悸、息苦しさ
行動:自分の意思で行う動作、例:戦う、逃げる、隠れる
治療構造(流れ)
治療目標;どうなりたいか?
患者情報;家族歴・生育歴・現病歴、現症・診断、強み・弱み、自動思考・スキーマ
仮説思考;問題・目標
治療計画;問題解決・目標達成
治療構造(流れ)
治療・契約、現症・診断→心理教育・問題提起→
問題解決;代替思考/拡散思考、熟慮検討/収束思考、問題解決、振り返り
Communication;Assertion、健全な自己主張、SST. Social Skills Training
行動療法;活動記録、行動活性化、行動実験(暴露療法)、Mindfulnessなど
認知療法;認知再構成・コラム法、自動思考・根拠・反証・適応思考・帰属、スキーマ同定
治療構造(約15-16回)
患者情報の収集(2-3回)→心理教育(1-2回)→認知行動療法の技術教育(約10回)→再燃予防(1-2回)
患者本人の試行錯誤・発見・習得
段階 | 治療(回) | 目的 | 予定 | 方法 |
1 | 1-2 | 患者情報・理解 心理教育・動機づけ | 家族歴・生育歴 疾患・治療の理解 | 問診 説明 |
2 | 3-4 | 現症・診断 治療目標の確認 動機づけ | 治療目標 活動予定 | 問題提起 活動記録 励まし |
3 | 5-6 | 自動思考の同定 | 3つのコラム | コラム法 |
4 | 7-12 | 自動思考の検証 | 7つのコラム | コラム法 |
5 | 13-14 | スキーマの同定 | 深掘り | 内省・洞察 |
6 | 15-16 | 再燃予防 | 振返り | つながり |
段階 | 予定 | 方法 | 時間 |
1 | 自己評価尺度 | QIDSなど | 10分 |
2 | 導入 | 具合や病状など | 5-10分 |
3 | おさらい | 前回からつなぐ | |
4 | 宿題の振り返り | 実施状況など | |
5 | 目標・計画・予定 | 現実的・具体的 | 20-30分 |
6 | 宿題の設定 | 課題設定など | 5-10分 |
7 | 本日の振り返り | 重要事項など |
精神療法の共通要素(治療的コミュニケーション)
治療者と患者間とにおける「治療関係(治療同盟)」の構築が必須です。これは「信頼関係(ラポール)」と呼称されることもあります。1.共感、2.誠実、3.敬意に大別されます。
1.共感
患者の気持や考えを理解し、伝えること。
悩みや苦しみに同調する「情緒的共感」、背景情報などを理解する「認知的共感」、
患者が「共感された」と実感できる言動などの「行動的共感」。
一方で患者の「内的現実(こころの世界)」も十分理解されなければならない。
2.誠実
治療者として、一人の人間として、患者へ誠実に向き合うこと。
その際、言葉のみでなく、行動や態度・振る舞い等は言葉以上に重要となる。
3.敬意
誠実と同様に、お互い人間同士として、患者へ敬意を払い、患者の回復を第一に考えること。
導かれた質問 Guided Discovery
患者と治療者が「協働」し、患者が自分の体験を通じ、問題解決や認知再構成を行えるよう、質問します。患者は治療者から一方的に指導されるより、自ら考え、気づくことにより、深い洞察を得られます。これを「導かれた質問Guided Discovery」と呼称します。
そのために、治療者は患者の病歴や治療方針を明確に理解することが重要です。一般的な診療と異なり、治療者は患者がより良い人生を歩む際の「伴走者」といった役割が望まれます。具体的には・・・
A;Ask 質問
Open Question → Closed Question を行い、患者情報を収集します。
B;Be with Patient 信頼関係
共感・誠実・敬意を通じ、信頼関係(ラポール)を構築します。
C;Clinical Question 臨床的な質問
問題解決や認知再構成のため、患者の疾患・状態・症状に関する質問を行います。