第2回こどもの詩コンクール・特別奨励賞
宿題 弓削小学校6年 中村良子
今日の宿題は つらかった
今までで いちばんつらい宿題だった
一行書いては なみだがあふれた
一行書いては なみだがながれた
「宿題は、お母さんの詩です」
先生は そう言ってから
「良子さん」 と私を呼ばれた
「つらい宿題だと思うけど
がんばって書いてきてね
お母さんの思い出と
しっかり向き合ってみて」
「お母さん」
と一行書いたら
お母さんの笑った顔が浮かんだ
「お母さん」
ともうひとつ書いたら
ピンクのブラウスのお母さんが見えた
「おかあさん」
と言ってみたら
「りょうこちゃん」
とお母さんの声がした
「おかあさん」
ともういちど言ってみたけれど
もう 何も 聞こえなかった
がんばって がんばって 書いたけれど
お母さんの詩はできなかった
一行書いては なみだがあふれた
一行読んでは なみだがながれた
今日の宿題は つらかった
今まででいちばんつらい宿題だった
でも
「お母さん」
と いっぱい書いて お母さんに会えた
「お母さん」
と いっぱい読んで お母さんと話せた
宿題をしていた間
私にも お母さんがいた
心理療法