「衝動制御症」とは、自分や他人へ危害を加えるような「強い内的欲求」に抵抗できない「自己制御障害」。しばしば緊張や興奮の高まりが先行しますが、これに抵抗しようとする時にも生じます。衝動に続く、快感・満足・緊張からの解放を特徴とします。解放後、恥辱感や罪悪感を覚えることもあります。
すなわち、突然の「衝動」を抑えることが難しく、その「衝動」に従って行動してしまうことが特徴です。何かをしたいという強い「衝動」が生じ、それを抑えられず行動し、その行動が社会的、職業的、個人的な生活に悪影響およぼしてしまうのです。
臨床的には、放火症(放火を止められない)、窃盗症(窃盗を止められない)、強迫性性行動症(性的行為を止められない)、間欠爆発症(突然の怒りを抑えられない)が問題とされます。これらは犯罪・司法精神医学との関連から、診断は慎重が求められます。
衝動制御症として単独に診断されるほか、他の精神疾患の症状という考え方もあります。例;自殺企図・自傷行為、暴力・暴言、反社会的行動/統合失調症、双極症、神経発達症、パーソナリティ症などです。
原因は「衝動」を惹起する「扁桃体」を抑制する「前頭前野眼窩部」の機能低下や脳内の「セロトニン」の伝達低下が確認されています。
治療は、主となる精神疾患の治療が第一です。セロトニンを賦活するため、SSRIをむやみに処方すると、双極症の方々は躁状態になります。従って、十分に病歴を聴取し、正確な診断を行うことが、適切な治療が必要となります。
薬物療法は上記のように検討を要しますが、心理療法は共通しています。「立ち止まって考える」「振り返って考える」ことです。衝動制御症に限らず、精神疾患に罹患すると、その時の気分で即断即決する傾向があります。このため、常に上記を心がけることです。思ったこと、考えたことを、一人で抱え込まず、誰かに話したり、書き記したりすることも、有効な治療方法です。