
自閉症スペクトラム症克服マニュアル
自閉スペクトラム症と二次障害を改善するための具体的な方法

目次
Ⅰ.自閉スペクトラム症とは
Ⅱ.コミュニケーション障害
Ⅲ. 働きやすくするための仕事の進め方
Ⅳ. 働きやすくするための自己管理

Ⅰ. 自閉症スペクトラム症とは
困難さは見え隠れする

1. 自閉症スペクトラム症は発達障害のひとつ
自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害のひとつ
発達障害には3つあり、いずれも先天的要素が強い
複数の特性を併せ持っている人も少なくない

2. 自閉症スペクトラム症とは?
コミュニケーションや対人関係が苦手
興味の偏りやこだわりの強さ
感覚の過敏性や動きのぎこちなさ

3. 大人になり困難に直面し障害に気づく
知的障害がなく、症状が軽度の場合、学業に支障をきたすことなく、成績優秀という人も多い
学業以外では、友達が少ない、変わっているなど、場にそぐわないことを言っても「天然」と言われて済んでいた
学生のうちはやり過ごせていた
就職して働き始めると困難に直面した

4. 自閉症スペクトラム症の二次障害
発達障害は、うつ病などの二次障害を生じることが多い

5. 自閉症スペクトラム症の長所
自閉スペクトラム症は千差満別、能力も異なる→自己否定せず、長所へも注目する
論理的な思考、記憶力が抜群、継続し取り組む、真面目、ルールを守る、情報収集能力、特別な才能も

Ⅲ. コミュニケーション障害
伝える;言語・非言語
受け取る;聴く、くみ取る

1. コミュニケーション障害、周りの空気を読めない
周りの空気を読めない
意識せず、失礼なことを言い、相手を怒らせる
「自己中心的」「生意気」と言われやすい
指示の意図の裏を理解できない

2. 非言語的コミュニケーションが苦手
非言語的コミュニケーションが苦手
視線が合わない、表情が少ない、笑顔がぎこちない
相手の表情や口調などから、相手の感情を読み取れない
相手の発言を字義通りに理解する
興味やこだわりの偏り
自分なりの興味に固執してしまう

3. 非言語的コミュニケーションを意識する
コミュニケーションには、非言語コミュニケーションがある
自閉スペクトラム症者は、非言語コミュニケーションが苦手

4. コミュニケーションの基本、あいさつ
視線を合わせる、明るい表情、はっきりと話す

5. 話しかけるタイミング
いきなり話し始めない
相手との距離を考える
相手の様子をうかがう

6. 会話の苦手意識を克服するには
まず応答する
話に困ったら
天候、住所、出身、食物など

7. 「生意気」「上から目線」にならないよう
印象力を上げるには↑
相手の名前を呼ぶ
お礼を述べる
敬語を用いる

8. 「生意気」「上から目線」にならないよう
印象力を下げるのは↓
あくびをする
急に話題を変える
いきなり立ち上がる
貧乏ゆすり
自己主張する
腕組みする

9. 表情から相手の気持ちを読む
相手の表情から気持ちを「考える」練習をしましょう
どうしても理由が分からなければ相手に聞いてみましょう
「申し訳ございません、なにか失礼な言動をしたでしょうか」

Ⅲ. 働きやすくなるための仕事の進め方
ホウレンソウからザッソウへと

1. 遂行機能(作業を遂行する能力)障害
遂行機能」とは、目標を立て、効果的に実行していく能力です
「遂行機能障害」は周囲の人から理解されがたい特性です
意思決定 → 計画立案 → 計画実行 → 効果検証

1. 遂行機能(作業を遂行する能力)障害
仕事の変化や追加に対応ができません

2. 出社から退社までの職場の規則
職場には「常識」と言われる「暗黙の規則」があります
「暗黙の規則」は一見分かりづらいですが、守らないと大変なことになります
分からない時は同僚や先輩にこっそり質問しましょう
遅刻しない、挨拶する
公私混同しない、離席時は隣人へ伝言する
早退しない、退社時は卓上を整理する、挨拶する

3. 報連相:いつ、どこで、だれに
報連相 :あらかじめ曜日と時間を決めておきましょう
決定事項:障害者雇用者「私は報連相が苦手のため、定期的に相談させていただきたいです」と上司へお願いしましょう

4. マイスケジュールで、ひとつずつ進める
自閉スペクトラム症者は複数の仕事を同時に進めるのが苦手です
一点集中で進められるよう自分のスケジュールを作ると有効です

5. 少し間を取り落ち着く
自閉スペクトラム症者は臨機応変な対応が苦手
情報整理できず、パニックになることも
まずはクールダウンしよう

6. すぐメモを取ればミスの多くは防げる
情報処理が困難
聴覚・情報処理:口頭指示のような耳からの情報処理が困難
視覚・情報処理:文字や図表など、目からの情報処理は可能

6. すぐメモを取ればミスの多くは防げる
情報処理能力・集中力・ワーキングメモリーの問題
→情報の文字化(メモを取る)、環境整備

7. “I”メッセージ、相手を怒らせずに頼む・断るスキル
“I”メッセージとは自分の気持ちや感じ方を伝えるスキル
頼んだり断ったりする時は“I”メッセージ

7. “I”メッセージ、相手を怒らせずに頼む・断るスキル
ストレートに断るのは失礼になる
「クッション言葉」を用いる

7. “I”メッセージ、相手を怒らせずに頼む・断るスキル
会話を切り上げる→“I”メッセージ

Ⅳ. 働きやすくするための自己管理
体調・感情・時間→モチベーション管理力

1. 心身の不調は特性によることも
音や光に敏感だったりするのは特性
能力や意欲の問題ではない

2. 食事と睡眠を摂る「時間」を管理する
過集中や時間感覚のズレなどから生活リズムが不規則となり、睡眠障害を併発していることが少なくなる
過集中から生活リズムを乱さないため、時間管理により生活管理をする

3. 清潔でTPOに合った服装をする
職場では自分のこだわりではなく、TPOに合った服装をする
制服があればそれを着る、なければ「スーツ」が基本

4. 自分の心身の不調を見つける
自分の心身の状態を自覚しづらい
周囲から見るとストレスであるが、本人は気付かない

5. 怒りや不安に押し潰されないために
感情のコントロールが苦手
怒りや不安が続くと心身の調子が悪くなり、うつ病などの二次障害になることがある

6. 「リフレーミング」で視点を変える
ネガティブな感情にとらわれている時や自己否定感が強い時は認知を変える「リフレーミング」を行ってみる
リフレーミングとは、フレーム(枠)を変えるように、物事を異なった見方をしてみること

(参考)自閉スペクトラム症者の就業形態とメリット・デメリット
自閉症スペクトラム者が就労するための支援のほか、就労したあと、働き続けられるための支援もある
「精神障害者保健福祉手帳」の取得が必要な場合もある