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精神医学

自閉症と自己愛

自閉症自己愛とは異なる疾患ですが、臨床的には併発することが少なくありません。自閉症は自閉・固執を主徴とし、他者と情緒的な交流を行うことが困難な疾患です。他者の考えや気持ちを理解できず、自分の世界に閉じこもります。自己愛は誇大性を主徴とし、他者へ共感することの困難な疾患です。


このように両者は異なる病態ですが、生育上の葛藤から併発することが見受けられます。自閉症は自分の世界に閉じこもることから、他者や社会を理解せず、自己中心的になる傾向があります。さらに他者と上手に交流できないことから、幼少期、イジメ被害に遭うことが多く、心的外傷として思春期・青年期まで傷跡を残します。いわゆる「発達性トラウマ障害」がこれに相当します。


心的外傷・トラウマは不眠・不安・抑うつなど自己の内界にとどまることが多いのですが、心的エネルギーが高まると、自己の外界へおよび、他者を巻き込みます。これが自己愛の病理であり、誇大性の表出につながります。自閉症は自閉型・受動型積極奇異型・尊大型に分類されますが、後者二類が自己愛に相当する言動を行います。尊大型は字義通り、積極奇異型は他者の都合を考えず、自分の意見を主張することがあります。これが自己愛の共感性・欠如と共通する病理です。


自己の言動を「内省」するには、自己を「客観的」「俯瞰」する「メタ認知」と呼ばれる心理的な能力を必要とします。しかし自閉症者と自己愛者はともにこれらを苦手とします。自閉症者の視点は内向きですが、自己を客観的に観ることを困難とします。自己愛者の視点は外向きで、内省することを困難とします。

臨床現場では困難でも改善を目指し尽力します。本人の自己愛を傷つけないよう配慮しつつ、言葉を尽くし繰り返し説明します。言葉で理解できない時は、文字にしたり図表にしたりして、説明を補足します。そして少しでも自己を認識し、他者と融和できることを目標としてまいります。

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