「自閉症と依存症」では両者の性質と併発について説明しました。今回は「自閉症とゲーム依存症、特に「オンラインゲーム依存症」について説明します。前記の通り自閉症は「自閉・固執」を主徴とするため、自宅にひきこもり、対人接触を回避します。人間の体内時計は25時間周期のため、次第に後ろへずれ、夜更かしとなります。気がつくと「昼夜逆転」の生活に陥ります。
昭和の時代は、夜起きていても、特にすることもなく、自然と早寝していたことでしょう。平成・令和になると、インターネットとスマートフォンの普及により一変しました。夜遅くまでスマホ・オンラインゲームに興じています。自閉症の患者さんも完全な孤立を好む訳ではなく、オンラインによる間接的なつながりならば心を許します。結果、一日の終わり、深夜にオンラインゲームにハマるようです。
自閉症の患者さんがインターネット依存に陥る可能性は一般人の4倍という調査が報告されており、その理由として視覚優位の認知特性や同じパターンの繰り返しを好む心性などが挙げられています(精神神経誌121巻7号556頁)。
ゲーム依存症について、ICD-11/WHOでは「ゲーム障害」として、1.ゲームの制御不能、2.ゲーム優先、3.問題あるにもかかわらずゲームを継続と定義しています。
ゲーム依存症は、まだ歴史の浅いこと、罹患者が若年に多いことなどから、アルコール・薬物、ギャンブル・性依存のような自助グループはできていません。可及的、速やかな対策としては、保護者や教師らが、依存症に陥っている少年・青年らを、早期発見・早期治療に結びつけることでしょう。
治療は予防も含め、オンラインゲームの中止もしくは制限をすること。代替として、不登校・ひきこもりにある子らが社会参加につながる場所の提供を積極的に行うことでしょう。学校は、通級指導・保健室登校、医療は、デイケアが相当するでしょう。自閉症の障害特性を考慮した上で、顔の見える「つながり」を再構築することが不可欠です。