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精神医学

精神疾患と認知機能

精神疾患と認知機能の関係

精神疾患は単に「気持ちの問題」ではなく、脳の認知機能(記憶・注意・思考・判断など)にも影響を及ぼすことが知られています。
例えば、うつ病では記憶力や集中力が低下し、統合失調症では思考がまとまりにくくなるといった症状が現れます。

認知機能の低下は、日常生活や仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えるため、精神疾患の治療と同時に認知機能の改善も重要な課題です。


1. 認知機能とは?

認知機能(Cognitive Function)とは、情報を処理し、理解し、適切に行動するための脳の働き のことです。
主に以下の6つの要素に分けられます。

✅ ① 記憶(Memory)

  • 短期記憶(数秒~数分の間の情報を保持する)
  • 長期記憶(経験や知識を長期間保持する)

✅ ② 注意(Attention)

  • 持続的注意(長時間集中を維持する)
  • 選択的注意(必要な情報に焦点を当てる)
  • 分配注意(複数のことを同時に行う)

✅ ③ 実行機能(Executive Function)

  • 計画・問題解決・柔軟な思考をする能力
  • 例:「スケジュール管理」「タスクの優先順位をつける」

✅ ④ 言語能力(Language Ability)

  • 言葉を理解し、適切に使う能力
  • 例:「会話をスムーズにする」「文章を正しく読む」

✅ ⑤ 視空間認知(Visuospatial Cognition)

  • 物の位置関係や形状を把握する力
  • 例:「地図を読む」「物を正しく配置する」

✅ ⑥ 社会的認知(Social Cognition)

  • 他人の気持ちを理解し、適切な行動を取る能力
  • 例:「相手の表情から感情を読み取る」「場の空気を読む」

2. 精神疾患ごとの認知機能の特徴

精神疾患の種類によって、影響を受ける認知機能が異なります。

精神疾患影響を受ける認知機能具体的な症状
うつ病(MDD)記憶、注意、実行機能物忘れが多い、集中力が低下、決断が難しい
双極性障害(BD)実行機能、注意、社会的認知衝動的な行動、計画性の低下、空気が読めない
統合失調症(SZ)記憶、注意、社会的認知思考がまとまらない、会話が支離滅裂、幻覚・妄想
ADHD(注意欠如・多動症)注意、実行機能、記憶気が散りやすい、計画性がない、衝動的な行動
ASD(自閉スペクトラム症)社会的認知、言語、実行機能空気が読めない、柔軟な思考ができない、こだわりが強い
認知症(アルツハイマー病など)記憶、言語、実行機能物忘れがひどい、言葉が出てこない、判断力の低下

3. 各精神疾患の認知機能への影響

✅ ① うつ病(Major Depressive Disorder, MDD)

  • 記憶力の低下 → 「何をしようとしていたか忘れる」
  • 集中力の低下 → 「本を読んでも内容が頭に入らない」
  • 判断力の低下 → 「些細なことでも決断できない」

✅ ② 双極性障害(Bipolar Disorder, BD)

  • 躁状態 → 計画性の低下(無計画な買い物、浪費)
  • うつ状態 → うつ病と同様に思考が鈍る
  • 社会的認知の低下 → 「相手の気持ちを考えずに発言する」

✅ ③ 統合失調症(Schizophrenia, SZ)

  • 思考のまとまりが悪い → 「会話が飛び飛びになる」
  • 注意力の低下 → 「一つのことに集中できない」
  • 社会的認知の低下 → 「冗談が通じない」「妄想が現実に思える」

✅ ④ ADHD(注意欠如・多動症)

  • 注意力が低い → 「気が散りやすい」「話を聞いていない」
  • 実行機能の低下 → 「計画性がない」「やるべきことを忘れる」
  • 衝動的な行動 → 「すぐに行動してしまい、後で後悔する」

✅ ⑤ ASD(自閉スペクトラム症)

  • 社会的認知が弱い → 「相手の気持ちを察するのが苦手」
  • 言語の理解が苦手 → 「皮肉や冗談が理解しにくい」
  • 実行機能の低下 → 「急な予定変更に対応できない」

✅ ⑥ 認知症(アルツハイマー病など)

  • 記憶の低下 → 「昨日のことを忘れる」
  • 言語能力の低下 → 「単語が思い出せない」
  • 判断力の低下 → 「お金の管理ができなくなる」

4. 認知機能を改善する方法

✅ ① 適度な運動

  • 有酸素運動(ウォーキング・ジョギング) → 前頭前野を活性化
  • 筋トレ → ドーパミン・セロトニンを増やし、気分を安定させる

✅ ② 認知トレーニング

  • パズル・読書・言語学習 → 記憶力・言語能力を鍛える
  • マインドフルネス・瞑想 → 注意力・実行機能を強化

✅ ③ 食事の改善

  • オメガ3脂肪酸(青魚・ナッツ) → 脳の神経機能を維持
  • ビタミンB群(豚肉・大豆) → 神経伝達物質をサポート

✅ ④ 睡眠の質を向上

  • 7〜8時間の睡眠を確保
  • 寝る前のスマホ・カフェインを控える

5. まとめ

精神疾患は、記憶・注意・実行機能などの認知機能に影響を及ぼす
疾患ごとに認知機能の低下パターンが異なる
運動・食事・認知トレーニングで認知機能を維持・改善できる

精神疾患の治療とともに、認知機能を鍛えることで、より良い生活を送ることが可能 です!

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  • 1. 認知機能とは?
    1. ✅ ① 記憶(Memory)
    2. ✅ ② 注意(Attention)
    3. ✅ ③ 実行機能(Executive Function)
    4. ✅ ④ 言語能力(Language Ability)
    5. ✅ ⑤ 視空間認知(Visuospatial Cognition)
    6. ✅ ⑥ 社会的認知(Social Cognition)
  • 2. 精神疾患ごとの認知機能の特徴
  • 3. 各精神疾患の認知機能への影響
    1. ✅ ① うつ病(Major Depressive Disorder, MDD)
    2. ✅ ② 双極性障害(Bipolar Disorder, BD)
    3. ✅ ③ 統合失調症(Schizophrenia, SZ)
    4. ✅ ④ ADHD(注意欠如・多動症)
    5. ✅ ⑤ ASD(自閉スペクトラム症)
    6. ✅ ⑥ 認知症(アルツハイマー病など)
  • 4. 認知機能を改善する方法
    1. ✅ ① 適度な運動
    2. ✅ ② 認知トレーニング
    3. ✅ ③ 食事の改善
    4. ✅ ④ 睡眠の質を向上
  • 5. まとめ
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