🔍 1. 「片づけられない」は症状か、性格か？
「片づけられない」という行動は、一見ただの“怠け”や“だらしなさ”と誤解されがちですが、精神医学ではそれを単なる性格ではなく、脳の機能や心の状態の表れとして捉えることがあります。
🧠 2. 主に関係する精神疾患や状態
◆ ADHD（注意欠如・多動症）
- 実行機能（物事を計画し、順序立てて処理する力）の弱さ
- 見通しを立てるのが苦手で、「どこから片づければいいかわからない」
- 気が散りやすく、途中で他のことに気を取られる
👉 ADHDの人にとって、片づけは「やりたくない」ではなく「どうすればいいかわからない」行為。
◆ うつ病・気分障害
- エネルギーが極端に低下しており、日常の行動そのものが困難
- 片づけができない自分に対する自己嫌悪が悪循環を生む
◆ 強迫性障害（OCD）
- 「完璧にやらなければ意味がない」という思考が邪魔をして、かえって手をつけられない
- 極端な確認・分類のこだわりで時間がかかりすぎる
◆ 自閉症スペクトラム障害（ASDなど）
- 感覚過敏や秩序への独自のこだわりがあり、「他人から見て散らかっている」が本人には意味のある配置であることも
- 過剰な情報処理負担により、片づけ行動が過剰なストレスになることも
🧩 3. 心理的背景・無意識のサインとしての「片づけられなさ」
- 物を手放すことへの不安（過去への執着や喪失体験）
- 片づけという“決断”を避けている（選ぶこと、責任を持つことへの不安）
- 家の散らかり具合が「心の状態の鏡」として現れるケースも
💬 4. では、どう向き合えばいいのか？
- 「できないのは意思の弱さではない」と理解することがまず大事。
- 必要なら、精神科や心療内科での診断・支援を検討する。
- ADHDの場合は薬（コンサータ、ストラテラ等）や、行動療法的アプローチが有効。
- 片づけの専門家（整理収納アドバイザー）と精神医療がコラボするケースも増えている。
🧭 5. 「片づけ」を通して、自分自身と向き合う
片づけは単なる家事ではなく、「自分をどう扱っているか」が出る行為です。
精神医学的にも、片づけの習慣化や環境の整備は、うつや不安を和らげる治療の一環としても扱われます。
