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精神医学

溜め込み症

溜め込み症とは、客観的に価値のないものと考えられるものを捨てることができず、その結果、生活空間が極度に混乱し(俗に言う「ゴミ屋敷」「汚部屋」)、本人もさることながら、同居者も強い苦痛を覚えます。本人は半ば価値がないと気づきながらも、将来必要になるかもしれないとの誤解から捨てられず、また捨てることへの不安感、所有することから安心感を覚えます。半ば気づいており、苦痛を覚えることから、自我異和的な強迫性障害の亜型と考えられています。

未婚・単身者に多く認められ、強迫症および社交不安、依存・回避性格などが指摘されています。昨今話題となっている自閉症・固執、ADHD・不注意との併発も考慮されています。統合失調症・慢性期においては、無為自閉より、不必要なものを捨てることができなくなります。さらに、高齢化社会となり、前頭側頭型認知症においても認められており、これは前頭前野眼窩部の機能低下、処理機能の低下が溜め込みを生ずる可能性を示唆します。

溜め込み症は、強迫症の亜型と分類されていますが、前頭前野の機能低下といった器質的な異常が示唆されていることもあり、なかなか治療に乗ることが難しいです。SSRIの効果も懐疑的で、最も有効と考えられているのは、訪問看護・居宅介護などの支援を受けながら、必要・不必要の決定、捨てる恐怖と向き合うこと、そして自分の生活や人生にとって本当に重要な物事は何かを俯瞰する視座を獲得することです。

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