「性依存」とは、性行為に対し抑制が効かず、常に強い欲求や衝動に駆られる心理的な状態です。この状態は、個人の社会生活・日常生活に深刻な影響を与えます。改めてその心理の深層を説明しましょう。
ストレスや不安の緩和;性行為のもたらす一時的な快感や興奮は、ストレスや不安を感じている時、心理的な緩和をを提供します。このため、不安やストレスが高まると、性行為によりそれを逃れようとするのです。
自己肯定感の向上;自己価値が低い人々が、性行為を通じ、一時的な自己肯定感を得るため、性依存に陥ることがあります。性的成功が自己評価の源となり、それが性依存の形成につながるのです。
逃避行動;現実の問題や対人関係の困難から逃れるため、性行為に依存することもあります。性依存は、問題から一時的に逃避する手段として使われます。
過去のトラウマ;小児・思春期期のトラウマ・心的外傷は、成人期以降の性依存に影響を与えます。トラウマが、不適切な方法で感情処理されると、性依存につながるのです。
心理的・社会的・孤立;心理・社会的に孤立していると、性行為を通じ、刹那的な関係を求めることがあります。
ドーパミンと報酬システム
ドーパミンの役割;性行為は、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質の放出を促します。ドーパミンは「快楽ホルモン」と呼ばれ、報酬や快楽を感じる際に重要な役割を果たします。性依存者は、性的刺激に対する反応が過剰になり、これが依存行動を強化します。
報酬回路の感作;性依存者は、性的刺激に対し脳の報酬回路が過敏になります。これを「感作」と言い、同じ量の刺激に対し強化された反応を示します。その結果、性的刺激を求める行動が増え、依存症が強化されます。
脳の構造と機能の変化
前頭前皮質;前頭前皮質は意思決定・抑制制御・適応行動の調整に関与しています。性依存者は、機能低下が見られ、不適切な性的行動を抑える能力が低下します。
扁桃体と応答性;扁桃体は感情的な反応と関連し、性依存者は性的刺激に対する過敏な反応が見られます。これは、感情的な反応が増強することを意味し、依存行動への引き金となります。