💙 弁証法的行動療法(DBT)とは? 💙
弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy, DBT)は、境界性パーソナリティ障害(BPD)をはじめ、感情調整が難しい人のために開発された心理療法です。現在では、うつ病、PTSD、摂食障害、薬物依存、自傷行為など、さまざまなメンタルヘルスの問題にも効果があるとされています。
🧠 1. DBTの成り立ちと目的
- 開発者:アメリカの心理学者 マーシャ・M・リネハン博士 によって、1980年代に開発されました。
- 目的:激しい感情をコントロールし、対人関係を改善し、人生の質を高めること。
「受容」と「変化」という一見対立する要素をバランスよく取り入れながら、心の安定を目指します。
💡 2. DBTの4つの主要スキル
🧘♀️ 1. マインドフルネス(Mindfulness)
- 「今、この瞬間」に注意を向けるスキル
- 感情や思考を批判せず、ありのままに観察する
- 例:深呼吸、ボディスキャン、歩行瞑想
効果: 衝動的な反応を抑え、冷静な判断ができるようになる
🧯 2. 苦痛耐性(Distress Tolerance)
- 激しい感情やストレスを「しのぐ」ためのスキル
- 苦しい状況を破壊的な行動(自傷や暴言など)に走らずに乗り越える
- TIPPスキルが代表的
📌 TIPPスキル(急性ストレス対処法)
- T(Temperature):冷やす:冷水で顔を洗う、氷を握る
- I(Intense exercise):激しい運動:短時間のジャンプやスクワット
- P(Paced breathing):呼吸法:4秒吸って、4秒止めて、4秒吐く
- P(Paired muscle relaxation):筋弛緩法:筋肉を緊張→緩めるを繰り返す
効果: 衝動を抑え、危機的な状況を安全に乗り切ることができる
💛 3. 感情調整(Emotion Regulation)
- 感情を理解し、健康的に調整するスキル
- ネガティブな感情に圧倒されず、前向きな気分を増やす
📊 感情調整の3つの柱
- 感情を認識する: 自分の気持ちに名前をつける(例:「今、私は不安を感じている」)
- 感情の引き金を知る: 何がその感情を引き起こしたかを分析する
- 感情の調整法を実行する: 健康的な行動(趣味をする、日光を浴びる、運動するなど)を選ぶ
効果: 感情の波を小さくし、落ち込みや怒りに振り回されにくくなる
💬 4. 対人関係スキル(Interpersonal Effectiveness)
- 健康的な境界線を保ちつつ、自分のニーズをうまく伝えるスキル
- 対立を避けながら、関係を強化する方法を学ぶ
💡 代表的な対人スキル:「DEARMAN」
- D (Describe): 状況を客観的に説明する
- E (Express): 自分の気持ちを伝える
- A (Assert): はっきりと要求する
- R (Reinforce): 相手に協力の利点を示す
- M (Mindful): 一貫した態度を保つ
- A (Appear confident): 自信を持って話す
- N (Negotiate): 妥協点を見つける
効果: 相手を傷つけずに自己主張し、人間関係を改善する
🩵 3. DBTの特徴的な考え方:「弁証法」
- 弁証法とは、相反する2つのものを統合して、新しい理解を生み出すことを意味します。
- 例えば:
- 「今の自分を受け入れる」(Acceptance)ことと、「より良くなるために変わる」(Change)ことは両立する
- 「感情を抑える」のではなく、「感情を感じつつもコントロールする」
📈 4. DBTの治療プロセス
📅 1. 個別面接(Individual Therapy)
- 週1回、セラピストと1対1で行う
- 感情や行動のパターンを分析し、問題解決法を学ぶ
🧩 2. スキルトレーニング(Skill Training Group)
- グループ形式でDBTの4つのスキルを学ぶ
- ワークブックを使い、実生活での実践方法を練習する
📞 3. 電話コーチング(Phone Coaching)
- 緊急時や難しい状況で、セラピストに電話相談し、学んだスキルを実践するサポートを受ける
🧠 4. チームコンサルテーション(Therapist Consultation Team)
- セラピスト同士がチームを組み、患者への対応について協力し合う
💪 5. DBTはどんな人に効果があるの?
- 境界性パーソナリティ障害(BPD)
- 自傷行為や自殺念慮のある人
- 双極性障害(躁うつ病)
- 摂食障害(過食症・拒食症)
- PTSDやトラウマのある人
- アルコールや薬物依存のある人
🌱 6. DBTの効果とメリット
- 感情のコントロールがしやすくなる
- 対人関係が改善され、衝突が減る
- 自傷行為や衝動的な行動が減る
- 自分自身に対する理解と受容が深まる
- 再発率が低下し、より安定した生活が送れる
💡 7. DBTセルフヘルプのヒント(自分でできるDBT練習)
- 毎日3分のマインドフルネス瞑想を行う
- ストレスを感じたら TIPPスキル を実践する
- 1日の終わりに「今日の感情日記」を書く
- 人間関係のトラブル時は DEARMANスキル を試してみる
- 自分に対して、「今の自分でも十分で、なおかつ成長もできる」と言い聞かせる
💙 まとめ:DBTの大事なポイント
- 受容(今の自分を認める)と変化(より良い行動を学ぶ)を両立する
- 4つのスキル(マインドフルネス・苦痛耐性・感情調整・対人関係スキル)を日常で使う
- 感情の波に流されるのではなく、波に乗る術を学ぶ
DBTは「感情の暴風雨を乗り切るためのスキルセット」です。あなたが日々の困難を乗り越え、より豊かな人生を歩むための助けになりますように 😊✨