
家庭内暴力
家庭内で起こる、家族に対する暴力的な行為や言動のこと。
広義には、夫、妻、子供、祖父、祖母など、家族間の暴力・暴言
(そこからおこる物品・建造物の破壊・破損など)を示します。
狭義には、特に、20歳未満の子が同居する親などに対して継続的に振るう「逆向きの」暴力を示します。
警察が家庭内暴力に介入する際はその後の対処の都合もあり、
児童に振るわれる暴力を「児童虐待」
(児童を児童相談所を通じて保護施設に預けることになる)
配偶者間の暴力は「ドメスティック・バイオレンス」
(被害者支援団体を通じて保護施設へ誘導する)と使い分けます。

児童虐待
児童の周囲の人間(保護者、学校教師、施設職員など)が、児童に対して虐待を加える (Abuse)、または育児放棄(Neglect)することです。幼児の場合は特に「幼児虐待」と呼称します。
WHOは、全成人の4人に1人は年少児に身体的虐待、女性の20%と男性の8%は年少時に性的虐待を受けたと報告しています。WHOによれば毎年4.1万人の15歳以下児童が自宅にて殺されているそうです。

Domestic Violence. DV
家庭内の暴力や攻撃的な言動(家庭内暴力)という意味の表現です。
典型的には、夫婦間やパートナー間の暴力であり、これまでの加害者は男性、被害者は女性でした。
これは、性的役割(Gender Bias)、家父長制、発達・人格の問題など。

モラル・ハラスメント(harcèlement moral 仏)
モラル(「良識」とされる道徳や倫理)によって行われるハラスメント(嫌がらせ)。フランスの精神科医 Marie-France Hirigoyen(イルゴイエンヌ)が提唱した言葉。身体的な暴力は、外傷などが残るため、顕在化しやすいけれど、精神的な暴力は言葉や態度などにより行われるため、長期間、潜在化していましたがが、イルゴイエンヌの提唱により、一般社会へ知られるようになりました。
「加害者」は「被害者」を「対等の人間」とみなしていません。ともすると「もの」扱いする時もあります。
「自己愛性Personality」のため、自分を葛藤を抱えることができず、他者や周囲を変えることで、解決を図ろうとします。このような言動は、加害者が幼少期に受けた「心的外傷 Trauma」が癒されることなく、「行動化 Acting Out」された結果ではないかと考えられます。
「被害者」にも特徴があります。被害者は、出来事に対し、「自分が悪いのでは」と罪悪感を持ちやすい、誰かへ尽くすことで自分の存在を確認しやすい傾向があります。いわば、自己愛と依存との「共依存」の病理を呈していると言っても過言ではないでしょう。