
青年期から壮年期を通じて存在する、社会的規範に従う能力の欠如
継続的な反社会的行動や犯罪を特徴とする
最も重い男性アルコール使用障害者の70%以上
刑務所収容者の75%以上の有病率
普段は冷静で信用できるように見えることがある
しかし、内心は緊張・敵意・怒りを潜ませている
嘘と盗み、ずる休み、家出、喧嘩、物質乱用、不法行為などを子ども時代から行なっている
異性には魅力的に、同性には傲慢に振る舞うことがある
高い知性を備えていることもある、その代表は「詐欺師」である
言葉巧みに人を操り、名声や悪評を織り交ぜ、他人から金銭を得る
しかし、結局は信用を損ない、破滅的な結末を迎える
自責の念や良心の呵責を抱かない

診断基準、DSM-5、一部改変
他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降に起き、以下3つ以上を示す
法にかなう行動という点で社会的規範に適合しないこと、これは逮捕の原因になる行為を繰り返す
虚偽性、繰り返し嘘をつく、偽名を使う、自分の利益や快楽のため人をだます
衝動性、将来の計画を立てられない
攻撃性、身体的な喧嘩または暴力を繰り返す
自分または他人の安全を考えない無謀さ
無責任、仕事を安定して続けられない、経済的な義務を果たさない
良心の呵責の欠如、他人を傷つけても、無関心であったり、正当化したりする

治療には厳格な制限が不可欠である
施設など移動不能な状況にて精神療法は可能になる
仲間の存在は動機づけになるため、自助グループは役立つ
薬物乱用が多いため、薬物療法は慎重に行われるべきである
炭酸リチウム、バルプロ酸、抗精神病薬などが用いられる
ベンゾジアゼピンは依存乱用・脱抑制されるため禁忌である

症例
A男の問題は家族・生育歴から認められた、父はアルコール依存乱用歴があり、母へ暴力を振るい、A男が3歳時に両親は離婚した、母も抑うつ状態にあり、A男を養育できず、施設で育った
A男は子どもの頃から、嘘をつき万引きをした、13歳から飲酒・喫煙をはじめた、15歳時に暴行傷害事件を起こし、少年院へ送致された、性体験は早く、複数の性的パートナーを持った
高い知性を持ち、20代から詐欺行為に及んだ、30代は刑務所で過ごし、40代で出所するも、定職に就くことはなく、日雇いの仕事を繰り返した、アルコール依存症の自助グループで知り合った女性と同棲するも喧嘩が絶えなかった
50代になっても落ち着いた生活に至らず、スリルのある出来事を好んだ