「ブリリアント・ジャーク Brilliant Jerk」とは優れた才能を持ちながらも、職場の士気やチームのパフォーマンスに悪影響を与える人物を示します。Brilliantは「素晴らしい、輝かしい」Jerkは「嫌な奴」という造語です。2009年、Netflix CEOがPresentationで用いたことにより広まりました。
精神医学の見地からは「自己愛性パーソナリティ障害」に相当するでしょう。誇大・尊大にて、特別意識・特権意識を抱いており、機会あれば他者を利用するパーソナリティです。このような人物は内心、臆病で自信なく、誇大的に振る舞うことで代償していることも少なくありません。また幼少期・思春期に強い挫折を覚え、それを受け容れることができないことから、反動形成されていることも考えられます。
最近は「自閉症と自己愛」という精神病理も見受けられます。自閉・固執および興味・関心が利己に過集中すると、自己愛の病理を帯びます。ただし上記の挫折型に比較し、悪意や嫌味は少なく、自閉症ならではの無頓着さが前傾に生じます。
“Brilliant Jerk”および「自己愛」の方々は病識に乏しいです。自分の言動を振り返り、他者へ迷惑かけたことを省みることができません。問題を生ずると自分に非はなく、他者や環境に責任転嫁します。それを繰り返すため内省が深まることなく、人格も向上しません。
Netflixはリスク管理として優秀な個人に全ての仕事を任せることなく「リスク分散」することにしているそうです。さらに業務内容を文書化し、いつでも誰でも交代できるよう仕組化しています。「属人化」している業務を「標準化」する工程とも言えましょう。
本当に有能な人物は優れた才能を持ちながらも、控えめ、謙虚、地位や報酬をある程度は他人へ譲る、利他的な性格であると言えます。問題を生ずれば、まず自分に非がないか省みて、他者へ迷惑をかけないよう配慮します。受けた恩には感謝を忘れず、礼を尽くします。