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精神医学

パラフレニー

パラフレニー(Paraphrenia)とは?

パラフレニー(Paraphrenia) は、妄想(特に被害妄想や誇大妄想)と幻覚(主に幻聴)を特徴とする精神疾患 であり、統合失調症に類似しています。しかし、認知機能の低下が少なく、思考や社会適応能力が比較的保たれる という特徴があります。

現在の精神医学では、パラフレニーは独立した診断カテゴリとしては用いられず、多くの場合、妄想性障害や統合失調症の一部 として扱われます。


1. パラフレニーの定義と特徴

(1) 基本的な定義

パラフレニーとは、強固な妄想と幻覚があるが、認知機能が比較的保たれる精神疾患 です。患者は知的能力を維持していることが多いため、統合失調症の妄想型(paranoid schizophrenia)と区別されることがあります。

(2) 主な特徴

被害妄想:「誰かが自分を監視している」「政府が自分を狙っている」
誇大妄想:「私は特別な能力を持っている」「選ばれた存在だ」
幻覚(主に幻聴):「声が聞こえる」「誰かが話しかけてくる」
認知機能は比較的正常(記憶や判断力が保たれる)
社会生活の維持(一部の患者は仕事や日常生活を続けることができる)
感情面の安定性(統合失調症のような感情鈍麻は少ない)

このように、「知的にはしっかりしているが、妄想を持つ」 という特徴があり、妄想性障害や統合失調症と鑑別が必要 です。


2. パラフレニーの原因

(1) 生物学的要因

🧠 神経伝達物質の異常(ドーパミン過活動が関与)
🧠 脳の構造的変化(前頭葉・側頭葉の異常)
🧠 遺伝的要因(統合失調症や妄想性障害の家族歴)

(2) 心理的要因

💡 過去のトラウマ(長年のストレスや虐待経験)
💡 孤独や社会的孤立(妄想が強化されやすい)

(3) 環境的要因

🌍 高齢期の発症が多い(特に「遅発性パラフレニー」)
🌍 住環境の変化(引っ越しや施設入所が影響する)
🌍 薬物・アルコールの影響(一部の薬物は妄想や幻覚を誘発することがある)


3. 診断と分類

(1) DSM-5 や ICD-11 における分類

パラフレニーは現在の診断基準には含まれておらず、以下の疾患に分類されることが多い。

1️⃣ 妄想性障害(Delusional Disorder)

  • 妄想が主症状であり、認知機能の低下がない。
  • 幻覚はほとんど伴わないか、軽度の幻聴のみ。

2️⃣ 統合失調症(Schizophrenia, Paranoid Type)

  • 妄想と幻覚が顕著。
  • 思考の混乱や感情鈍麻が見られることがある。

3️⃣ 老年期パラフレニー(Late-Onset Paraphrenia)

  • 高齢者に発症し、妄想や幻覚を伴うが認知症ではない。
  • 社会的孤立が大きく影響する。

4. 治療方法

(1) 薬物療法

💊 抗精神病薬(非定型抗精神病薬)

  • リスペリドンオランザピンクエチアピン
  • 妄想や幻覚を軽減する

💊 抗不安薬・抗うつ薬

  • 不安や抑うつが強い場合に併用

(2) 精神療法

🧠 認知行動療法(CBT)

  • 妄想の現実検討を促し、不安を軽減する

🧠 支持的精神療法

  • 患者が安心して話せる環境を作る

🧠 社会的スキルトレーニング(SST)

  • 人間関係の改善を目的とする

(3) 社会的介入

🏡 家族支援(家族が患者の症状を理解し、適切な対応を取る)
🏡 地域社会の支援(デイケアや地域活動に参加し、孤立を防ぐ)


5. パラフレニーの社会的影響

(1) 社会適応

  • 認知機能が保たれているため、症状が軽度ならば仕事を続けることも可能
  • ただし、妄想の影響で対人関係のトラブルが生じやすい

(2) 法的問題の可能性

  • 被害妄想が強い場合、訴訟を起こしたり警察トラブルになることもある

(3) 生活の質(QOL)の低下

  • 孤立が進むと妄想が悪化し、生活の維持が難しくなる

6. まとめ

🔹 パラフレニーは、統合失調症と妄想性障害の中間的な疾患
🔹 妄想(被害妄想・誇大妄想)が中心だが、認知機能は保たれる
🔹 幻覚(主に幻聴)があり、統合失調症に近い特徴を持つ
🔹 老年期に発症する「遅発性パラフレニー」も存在する
🔹 治療には、抗精神病薬と心理療法、社会的支援が重要

パラフレニーは、適切な治療と支援があれば妄想を軽減し、生活の質(QOL)を改善することが可能な疾患です。

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    2. (2) 心理的要因
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    1. (1) DSM-5 や ICD-11 における分類
  • 4. 治療方法
    1. (1) 薬物療法
    2. (2) 精神療法
    3. (3) 社会的介入
  • 5. パラフレニーの社会的影響
    1. (1) 社会適応
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    3. (3) 生活の質(QOL)の低下
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