ギャンブル依存症の発症過程
ギャンブル依存症(ギャンブル障害)は、脳の報酬系の変化、心理的要因、環境要因が組み合わさって進行する精神疾患です。以下に、ギャンブル依存症の発症過程を詳しく説明します。
1. 初期使用段階(試しにギャンブルをする)
- 興味本位や娯楽としてギャンブルを始める。
- 友人の誘い、広告、SNS、ゲーム(オンラインカジノ、パチンコ、競馬など)をきっかけにすることが多い。
- 初めてのギャンブルで勝つと「簡単に稼げる」と思い、快楽と結びつく。
- 脳の報酬系(ドーパミン)が活性化し、ギャンブルの快楽を学習する。
ポイント
✅ 興味本位・娯楽目的で始める
✅ 初勝利が強い快楽を生み、ギャンブルへの期待を高める
2. 習慣化・頻繁な利用(エスカレーション)
- ギャンブルの頻度が増え、生活の一部になる。
- 「もう一度勝ちたい」「前回の負けを取り戻したい」という気持ちが強くなる。
- **損失を取り戻すために、さらにお金をかける「追い上げ行動」**が始まる。
- **「ギャンブルをすることでストレスが解消される」**という誤った認識が強まる。
ポイント
✅ ギャンブルの頻度が増加
✅ 負けを取り戻そうと賭け金が増える(損失追求)
3. 依存形成段階(コントロール喪失)
- ギャンブルをやめようとしても、やめられなくなる。
- ギャンブルのために借金をする、嘘をつく、生活費を使うなどの行動が見られる。
- 脳の報酬系が変化し、ギャンブルによる刺激が日常の楽しみを上回る。
- 耐性形成:小さな賭けでは興奮しなくなり、より大きな賭けを求める。
- 離脱症状(イライラ、不安、不眠)が発生し、ギャンブルをせずにいられなくなる。
ポイント
✅ ギャンブルのコントロールが効かなくなる
✅ 耐性がつき、より大きな賭けが必要になる
✅ ギャンブルをやめると不安やイライラ(離脱症状)が出る
4. ギャンブル中心の生活(生活への影響)
- ギャンブルが最優先になり、仕事・学校・家庭・人間関係が犠牲になる。
- 借金が増え、消費者金融や違法な貸金業者からの借金に手を出すこともある。
- 嘘をついたり、犯罪行為(窃盗、詐欺など)に走る場合もある。
- ギャンブルの負けによるストレスが強くなり、さらにギャンブルで取り返そうとする悪循環が生まれる。
ポイント
✅ ギャンブル以外のことに興味を失う
✅ 借金や人間関係の悪化が進む
✅ ギャンブルをやめたくてもやめられない
5. 依存症の確立(慢性化・再発)
- ギャンブルを続けることで自己嫌悪や抑うつが強まり、精神的に不安定になる。
- ギャンブルをやめようと決意しても、再発(リラプス)を繰り返す。
- 経済的・社会的に破綻する(失業、離婚、ホームレス化など)。
- 自殺念慮が生じることもある。
ポイント
✅ ギャンブルをやめようとしても再発する
✅ 精神的に不安定になり、生活が崩壊
✅ 経済的・社会的な問題が深刻化
6. 依存症からの回復(治療の必要性)
- 自力での回復は困難で、専門的な治療(カウンセリング、認知行動療法、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)など)が必要。
- **「ギャンブルに依存している自分を認める」**ことが回復の第一歩。
- 家族や支援団体のサポートが回復を助ける。
ポイント
✅ 自力での回復は困難
✅ 専門治療・支援が必要
まとめ
ギャンブル依存症は、
試しにギャンブルをする → 頻繁な利用 → 依存形成(耐性・離脱症状) → 生活の崩壊 → 依存症の確立 → 治療の必要性
というプロセスで進行します。
ギャンブル依存症は、脳の報酬系が変化し、正常な意思決定が困難になるため、早期の介入と治療が重要です。