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精神医学

アルコールの危険性

濃い青色は他者への害、薄い青は自分への害です。いずれも最上段、アルコールAlcoholが際立っていますね。次いでヘロインHeroin, コカインCocaine、少し下にタバコTobacco, 中程に医薬品・抗不安薬・睡眠薬のベンゾジアゼピンBenzodiazepines、そして下段にLSDがあります。

アルコールが他者にも自己にも危険であるにもかかわらず、合法化されているのは多くの裏事情があるでしょう。「酒は百薬の長」という言葉もです。時は前漢と後漢の間(紀元8-23年)、王莽(おうもう)が帝位を奪い「新」を建国すると「塩・酒・鉄」を国家の専売制を企てました。このとき「塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本」という一節があります。政策は失敗し、国家は15年間で滅びました。その後、吉田兼好は徒然草にて「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」とつづっていますが、それが真実でしょう。


最新医学では、アルコールは少量でも健康上、有益でありません。コーヒーのようなJ字カーブを描きません。このため、長生きされた方は「禁酒」することです。最近は「ソバーキュリアスSober-Curious」という言葉が流行しています。これはSober(しらふ)+Curious(好奇心)という造語です。コロナ禍や経済不安からアルコール依存に陥る人の増える中、2019年、欧米の若い知識層が発案したそうです。日本へは2021年頃から入ってきました。


タバコは「日本タバコ産業」のみであったため、速やかに「禁煙」が社会的に実施されました。それに比較すると、アルコールは大手二社はじめ数多くの会社あり、さらに地酒という名の下に数えきれない数の会社があります。これを規制することは難しく、ようやく飲酒運転を取り締まっているとこでしょうか。


しかし精神医療の現場では自殺・自殺企図の背景に飲酒・酩酊が多々見受けられますし、司法医療の見地からも、飲酒・酩酊下、暴行・殺人はじめ、重大犯罪が行われています。人間の「現実見当識」を失わせるのに、アルコールは必要十分な力を有しています。このような「凶器」とも言える液体をコンビニエンスストアで容易に購入できるシステムは危険としか言えません。The Indigo Wellness Indexによる「不健康」な国の指標は以下の通りです;健康寿命の短さ、高血圧、高血糖、肥満、鬱、幸福度の低さ、アルコール、タバコ、運動不足、政府の取り組みの低さ・・・

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