~ひきこもり当事者への理解と支援のためのガイド~
1. ひきこもりとは?
「ひきこもり」とは、仕事・学校・社会的な活動に参加せず、自宅にこもる状態が6カ月以上続いている状態を指します。
🔹 年齢や性別を問わず発生(若年層だけでなく中高年のひきこもりも増加)
🔹 日本国内には推定100万人以上のひきこもり当事者がいるとされています
🔹 社会的な孤立や精神的な負担を伴うことが多い
「怠けている」わけではなく、心のSOSを抱えている状態です。
2. ひきこもりのタイプと背景
① 発達的ひきこもり(発達障害・HSPなどが背景)
- ASD(自閉スペクトラム症)やADHDの特性で対人関係がうまくいかず、孤立
- 感覚過敏(音・光・匂いへの過剰反応)で外出が苦痛
💡支援のポイント
✅ 静かな環境・予定の見通しを示すなど、安心できる環境作り
✅ 発達特性に合わせたカウンセリングや診断を受ける
② 社会的ひきこもり(職場や学校での挫折・人間関係のトラブル)
- 仕事や学校での失敗・いじめ・パワハラなどにより、社会への不信感が増大
- 「自分はダメだ」という自己否定感が強まる
💡支援のポイント
✅ 本人が抱える失敗体験を受け止め、否定しない
✅ 過去よりも「これからどうするか」を一緒に考える
③ 精神的ひきこもり(うつ・不安障害・トラウマが背景)
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、パニック障害などによる引きこもり
- 外の世界が「危険な場所」と感じられ、外出できない
💡支援のポイント
✅ 精神科や心療内科などの専門的支援を受ける
✅ 無理に外出させず、安心できる人間関係の構築を優先
④ 経済的・社会的ひきこもり(就職や将来への不安)
- フリーターや非正規雇用で将来への見通しが立たず、社会との接点を失う
- 「働かなければならない」というプレッシャーと、現実的な経済的困窮
💡支援のポイント
✅ 就労支援機関(ハローワーク・地域若者サポートステーションなど)の活用
✅ 小さな成功体験を積み重ねるためのステップ設計
3. ひきこもりに共通する心理状態
💔 1. 自己否定感・無力感
- **「自分は社会に必要とされていない」**という感覚
- 過去の失敗体験が頭を離れず、挑戦する意欲を失っている
💡 支援ポイント
→ 否定せず、**「存在そのものが大切」**であることを伝える
😨 2. 不安・恐怖心
- 外の世界に出ることへの恐怖(再び傷つくかもという不安)
- 将来への不安(就職・人間関係・経済的自立への恐れ)
💡 支援ポイント
→ 「今できること」に焦点を当てて話す(未来へのプレッシャーは逆効果)
🌀 3. 社会への不信感
- 人間関係でのトラブルや傷つき体験により、**「人は怖い」**という思い込みが強い
- 家族とのコミュニケーションすら難しくなる場合も
💡 支援ポイント
→ 信頼できる支援者(第三者カウンセラー・支援機関)を活用する
4. 家族や支援者ができること
🌿 STEP1:まず「理解」から
「なぜ引きこもるのか」ではなく、「何が苦しいのか」を理解する姿勢が重要。
- NG例:「怠けてるだけでしょ?」「いつまでそうしてるつもり?」
- OK例:「何が一番辛い?」「話したいときはいつでも聞くよ」
🗣️ STEP2:コミュニケーションのポイント
✅ 無理に外出を促さない(「外に出る=解決」ではない)
✅ 相手のペースを尊重(沈黙も必要な時間)
✅ 問題解決ではなく、共感を優先(「そう感じるんだね」と受け止める)
🛠️ STEP3:環境調整
- 外の世界との接点を作るために、オンラインコミュニティを活用
- 家族だけで抱えず、支援機関・専門家に相談(ひきこもり地域支援センター等)
- 生活リズムが乱れやすいため、「できる範囲のルーティン」を一緒に考える
🎯 STEP4:段階的な社会参加
いきなり就労・外出を求めず、「小さな成功体験」を積むことが重要。
🔹 段階的支援の例
- 家族と一緒に近所を散歩する
- オンラインの趣味コミュニティに参加する
- 支援機関に同行してもらい、短時間の体験活動を行う
- 就労体験(短時間バイトやボランティア)
5. ひきこもり支援で重要な心得
💡 1. 焦らない・急かさない
→ **「時間がかかるのが普通」**という前提で向き合う
💡 2. 批判より共感
→ **「なぜできない?」ではなく「何が難しい?」**と聞く
💡 3. 第三者の力を借りる
→ 家族だけで頑張らない(支援団体・カウンセラーに相談)
6. 支援機関・相談先の例(日本)
- 🏡 地域若者サポートステーション(15歳~49歳までの就労支援)
- 🛠️ ひきこもり地域支援センター(各都道府県に設置)
- 🧠 精神保健福祉センター(心の相談・カウンセリング)
- 🌐 オンラインカウンセリングサービス(匿名相談可能)
支援を求めるのは「甘え」ではなく「前に進むためのステップ」です。
7. まとめ:ひきこもりの人の「声なき声」を聴こう
ひきこもりの当事者は、自分自身を責め、社会から切り離された孤独を感じています。
「どうして?」ではなく、**「どうしたら一緒に安心できるか?」**を考えて支えることが大切です。
🔹 無理に外に引き出すのではなく、「安全なつながり」を育てる
🔹 できること・興味があることを一緒に見つける
🔹 一人で抱え込まず、支援機関を活用する
「ひきこもり」はゴールではなく、今いる場所のひとつに過ぎない。
その事実を受け止めたうえで、本人の「次の一歩」を支える関わりを意識してみましょう。 🌱