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精神医学

こだわりの精神医学

こだわりの精神医学:こだわりとは何か?

精神医学における**「こだわり」** とは、特定の思考・行動・感情に強く執着し、それを手放すことが難しい状態を指します。日常生活に支障がない程度の「こだわり」は個性の一部ですが、極端になると精神疾患の症状の一つとして扱われることがあります。


1. こだわりの種類と特徴

こだわりには、大きく分けて以下のような種類があります。

✅ ① 認知的こだわり(思考のこだわり)

  • ある特定の考えに固執し、変えられない
  • 「これが正しい」「こうでなければならない」という思考の柔軟性の低下
  • 強い完璧主義やルールへの固執

例:

  • 「仕事の進め方はこれしかない」
  • 「A型の人は几帳面だ」という思い込みを強く持つ

✅ ② 行動的こだわり

  • 特定の行動パターンを繰り返す
  • 予定や習慣を崩されると強いストレスを感じる
  • 儀式的な行動(何かをする前に決まった動作をしないと気が済まない)

例:

  • 服のボタンを必ず特定の順番で留める
  • 通勤ルートを変えるのが苦痛

✅ ③ 感情的こだわり

  • 特定の感情や過去の出来事に執着する
  • 恨み・怒り・後悔などを長期間引きずる
  • 特定の人への執着(対人依存・ストーカー的行動)

例:

  • 昔の失敗を思い出して「やっぱり自分はダメだ」と思い続ける
  • 元恋人への執着が強く、新しい恋愛ができない

2. 精神医学における「こだわり」と関連疾患

「こだわり」はいくつかの精神疾患と深く関係しています。

疾患名こだわりの特徴
自閉スペクトラム症(ASD)ルーチンや習慣を崩されることへの強いストレス、特定の興味への過度な集中
強迫性障害(OCD)「手を洗わないと病気になる」「ドアを何回も確認しないといけない」などの強迫観念と強迫行動
統合失調症妄想や固定的な信念に強くこだわる(例:「自分は監視されている」)
パーソナリティ障害(特に強迫性パーソナリティ障害)完璧主義・柔軟性のなさ・規則や秩序への極端なこだわり
摂食障害(拒食症・過食症)体重・食事・運動への極端なこだわり
うつ病・不安障害過去の失敗や未来への不安に執着し、抜け出せない

3. なぜ「こだわり」が生じるのか?

こだわりのメカニズムには、脳の働き幼少期の経験 などが関係しています。

✅ ① 脳科学的な要因

  • 前頭前野の機能低下 → 柔軟な思考ができず、同じ思考に固執しやすくなる
  • 線条体(ストリオタル回路)の過活動 → 「この行動をしないと落ち着かない」という強迫的な思考
  • セロトニンの不足 → 不安が高まり、こだわりが強くなる(OCDでよく見られる)

✅ ② 幼少期の経験

  • 厳格なルールのもとで育った → 「こうしなければならない」と強く思い込む
  • 親の期待に応えようとするプレッシャー → 完璧主義になりやすい
  • トラウマ経験 → 「同じ失敗をしないように」と過度に慎重になる

✅ ③ ストレスや不安

  • 強いストレスを感じると、特定の行動に固執しやすくなる
    • 例:「仕事でミスをした → ルーチンを完璧にしないと気が済まない」
  • 不安をコントロールするために、特定のこだわりを強める
    • 例:「電車が遅れたらパニックになるから、同じ時間の電車にしか乗れない」

4. こだわりが強すぎるとどうなるか?

こだわりが強くなると、日常生活に支障をきたすことがあります。

✅ ① 社会生活での困難

  • 柔軟な対応ができず、仕事や人間関係で摩擦が生じる
  • こだわりが強すぎて、周囲に理解されにくい

✅ ② 強迫的な行動の悪化

  • 「この行動をしないと不安になる」と思い込み、やめられなくなる
  • OCD(強迫性障害)のように、手洗いや確認行動が日常生活を支配する

✅ ③ 精神的な疲労

  • 常に「こうしなければならない」と考え続け、疲れてしまう
  • こだわりが崩れると、強い不安やパニックを感じる

5. こだわりを和らげる方法

こだわりを完全になくす必要はありませんが、日常生活に支障が出る場合は、柔軟に対応する力を養うことが大切です。

✅ ① 認知行動療法(CBT)

  • 「こだわらなくても問題は起こらない」と少しずつ慣れる
  • 「100%完璧でなくてもOK」という思考を取り入れる

✅ ② セロトニンを増やす

  • 運動(ウォーキング・ヨガ)でリラックス
  • バランスの取れた食事(特にタンパク質やビタミンB群)を意識

✅ ③ 柔軟な思考のトレーニング

  • 「別の方法もあるかもしれない」と考える癖をつける
  • あえて違うことをしてみる(ルーチンを少し崩す)
    • 例:通勤ルートを変えてみる、普段選ばない食べ物を試す

✅ ④ 必要なら専門家のサポートを受ける

  • OCDやASDの症状が強い場合、精神科やカウンセリングを活用
  • SSRI(抗うつ薬)など、こだわりを和らげる薬物療法も有効

6. まとめ

「こだわり」は誰にでもあるが、強すぎると生活に支障をきたすことがある
こだわりの種類には「思考」「行動」「感情」の3パターンがある
自閉スペクトラム症(ASD)、強迫性障害(OCD)、うつ病などと関連が深い
ストレスや不安が強いと、こだわりが悪化しやすい
認知行動療法や生活習慣の改善で、こだわりを和らげることができる

こだわりは「個性の一部」でもありますが、必要以上に苦しむ場合は少しずつ柔軟性を高めることが大切です!

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    2. ✅ ② セロトニンを増やす
    3. ✅ ③ 柔軟な思考のトレーニング
    4. ✅ ④ 必要なら専門家のサポートを受ける
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