LINE を使った受診日時のお知らせを一時的に休止しています。詳しくはこちらをご覧ください。

東京・銀座の心療内科・精神科・メンタルクリニック

オンライン
予約
お問い合わせ
アクセス
診療時間
気分症群 (6A6-6A8)

うつ病の分類


うつ病の経過・予後は病気の種類にもよると考えられていますので、今回はこれについてご説明いたします。まず伝統的には以下の3分類と言われています。

外因性:脳器質性(外傷、腫瘍、卒中など)、身体疾患、薬物などによる
内因性:脳の神経伝達、機能異常などによる
心因性:心理的な問題による

外因性の場合は総合病院や専門病院に通院・入院されていることがほとんどです。こちらのブログを読まれている方で、外因性の方は少ないことでしょう。治療としてはうつ症状もさることながら、身体の病気の治療を優先していただきます。

内因性はうつ病の中核となる種類です。「誘因なく」ということもありますが、多少の誘因・心因を認めることもあります。但し、それにしては落ち込みが深く、不眠、食欲不振、日内変動(午前に抑鬱が強い)など、身体性の症状が現れている時は内因性のうつ病として診断いたします。

心因性はどなたもなりえますが、治療は長引くことがあります。環境や性格に拠るところが大きく、それが変わらないことにはうつも良くならないからです。環境が変われば、直ぐに良くなることもありますし、変わらなければいつまでも続いたりします。また性格に原因がある時はこれに働きかける必要があります。


内因性と心因性とは明確に区別できるものではありません。どちらもある程度、重複しているものです。これはうつ病という病気なり、「心」という存在なり、全ては「脳」という臓器の機能によると考えられるためです。しかしながら、分かりやすく大別すると以下のようにご説明できます。

    睡眠     日内変動   誘因   病前性格
内因性:中途覚醒   朝方悪い   なし   真面目、自立的
心因性:入眠困難   夕方悪い   あり   神経質、依存的

一方で、内因性のうつ病には「躁うつ病」のうつ状態であることも少なくありません。躁うつ病というのは、躁状態といわれるうつ症状の対極の症状が現れる病気です。具体的には、気分の高揚、怒りっぽい、考えが次々と浮かぶ、口数が多い、気が散る、動き回る、暴飲暴食、アルコール・ギャンブル・セックスなどです。軽い躁状態ならば上機嫌であったり、仕事がよくできたり、自分も周囲も困りませんが、著しくなると周囲に迷惑を及ぼして問題になります。躁とうつとは交代して周期的に生じることもあれば、両者の混じった「混合状態」となり、不機嫌でイライラした具合が続くこともあります。

いずれにしても、躁うつ病に伴ううつ状態の場合は、これを考慮した治療を行うべきです。すなわち抗うつ薬のみでなく、気分安定薬 mood stabilizerと呼ばれる薬を併用することが必要なのです。それでは躁うつ病のうつ状態とうつ病のうつ状態を見分けるにはどうするのでしょうか。以下の大別が目安になります。

      病前性格       体型   遺伝    発病年齢
うつ病 : 真面目(執着気質)  普通   少ない   中年期以降
躁うつ病: 社交的(循環気質)    肥満     多い         思春期・青年期

うつ病の方は病前においても大人しく、真面目な公務員といった律儀な感じの方が多いですが、躁うつ病の方は賑やかで、社長や政治家といった感じの豪快な人物であることが少なくありません。これまでの生活歴をうかがっても、うつ病の方は堅実・地味ですが、躁うつ病の方は波乱万丈で、転職や転居、時に度重なる結婚・離婚をされていることもあります。従って、躁うつ病のうつ状態には的確な診断と治療が求められるわけです。

この記事は参考になりましたか?

関連記事

PAGE TOP