うつ病は「こころの風邪」と呼び、早期発見・早期治療が叫ばれていましたが、いざ治療がはじまると、症状の重症度や、再発・再燃の頻度が注目され、「風邪」とは言えない事態に陥りました。いわば「肺炎」のような重症度、「喘息」のような頻度が認められています。
いったん休職すると復職するのに平均3ヶ月かかり、長い場合は1年以上となり、復職をするには「職場復帰支援」のような制度を要することもあります。また初めて発病した方が、2度目の再発を生じる可能性は50%、2度目の再発をした方が3度目の再発を生じる可能性は80%という調査結果が報告されています。
このように、重症度・再発の頻度ともに「風邪」とは言えない病気ですから、残念ながら罹患した際は、辛抱強く治療していく必要があります。「治す」というより「付き合う」といった言葉がよいでしょうか。そもそも初回の発病に至った背景には無理な仕事や生活があります。休憩や睡眠を削り、120-150%で走り続けた方が、ある時、何かのきっかけに発病することがしばしば見られます。つきましては、これまでの仕事や生活を振り返り、「ほどほど」にしていく必要があります。2度目、3度目の再発をされた方は60-70%に抑えていくとよいでしょう。
しかし、うつ病がその方の「人生の転機」となることも少なくありません。仕事や業績に追われていた人生を見直し、改めて「健康」や「幸福」といった価値観を見直す機会にできたらよいですね。「禍転じて福と成す」という言葉もあります。銀座泰明クリニックは長らくうつ病で悩んでいられる方々に付き添い、今後の人生を模索できるような場を提供できるよう努めてまいります。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。