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精神医学

いじめの脳科学

いじめと脳科学:脳への影響とメカニズム

いじめは単なる心理的ストレスではなく、脳の構造や機能に深刻な影響を与えることが、脳科学の研究で明らかになっています。被害者だけでなく、加害者や傍観者の脳にも影響があることが示唆されています。


1. いじめ被害者の脳への影響

いじめを受けた人の脳には、ストレスによる構造的・機能的な変化が生じることがわかっています。

(1) 扁桃体の過活動:恐怖・不安の増大

  • 扁桃体(へんとうたい)は恐怖や不安を司る脳の部位であり、いじめによる強いストレスで過剰に活性化する。
  • その結果、常に「危険」を感じるようになり、**PTSD(心的外傷後ストレス障害)**の発症につながることがある。
  • 扁桃体の過活動が続くと、不安障害やパニック発作を引き起こすことがある。

(2) 海馬の萎縮:記憶力と学習能力の低下

  • **海馬(かいば)**は記憶や学習に関与する脳の部位。
  • 慢性的なストレスにさらされると、海馬の神経細胞がダメージを受け、記憶力や学習能力が低下する。
  • これにより、学業成績の低下や仕事のパフォーマンス低下が起こる可能性がある。

(3) 前頭前野の機能低下:意思決定力・感情制御の低下

  • 前頭前野は論理的思考、自己制御、社会的判断を司る。
  • 強いストレスによって前頭前野の働きが弱まると、感情のコントロールが難しくなり、うつ病や衝動的な行動につながる。

(4) 視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の異常

  • **HPA軸(ストレス応答システム)**が過剰に反応することで、**コルチゾール(ストレスホルモン)**の分泌が増加する。
  • コルチゾールが長期間高レベルの状態になると、免疫機能の低下や、さらに海馬の萎縮を引き起こす。

(5) セロトニンの減少:うつ病の発症リスク

  • いじめのストレスにより、幸福感や安定感をもたらす神経伝達物質「セロトニン」の分泌が減少。
  • これがうつ病や不安障害の原因となり、気分の落ち込みや無気力感が続くようになる。

2. いじめ加害者の脳の特徴

いじめを行う側の脳にも特徴的な変化が見られる。

(1) 扁桃体の鈍化:共感性の欠如

  • いじめ加害者の中には、扁桃体の反応が鈍い人がいるとされる。
  • これにより、他人の痛みに対する共感が少なくなり、攻撃的な行動を取りやすくなる。

(2) 報酬系の過活動

  • ドーパミン報酬系が強く働き、いじめによって快感や優越感を感じるケースがある。
  • これは「いじめがエスカレートする」原因のひとつであり、いじめ行為が習慣化する危険性がある。

(3) 自己制御機能の低下

  • 前頭前野の活動が低い人は、衝動的な行動を取りやすく、いじめのような攻撃的な行動を抑えることが難しくなる。

3. いじめの傍観者の脳への影響

いじめを直接受けていなくても、目撃するだけで脳に悪影響を及ぼすことがある。

(1) ミラーニューロンによる共感ストレス

  • ミラーニューロンは他人の行動や感情を「自分ごと」として捉える神経細胞。
  • いじめの場面を見ると、被害者の苦しみを疑似体験し、ストレスや不安が高まる

(2) 道徳的ジレンマによる前頭前野の疲弊

  • 「助けたいけど、巻き込まれるのは怖い」というジレンマが脳に負担をかける。
  • これが続くと、罪悪感やストレスを慢性的に抱えることになり、不安障害の原因となる。

4. いじめが脳に与える影響の回復方法

いじめによってダメージを受けた脳も、適切なケアによって回復する可能性がある。

(1) ストレスホルモン(コルチゾール)を減らす

  • 運動(ウォーキングやヨガ)
  • 瞑想やマインドフルネス
  • 十分な睡眠

(2) セロトニンを増やす

  • 太陽の光を浴びる
  • バランスの取れた食事(特にトリプトファンを含む食品:バナナ、ナッツ、乳製品など)

(3) 脳の可塑性を活用する

  • ポジティブな体験(新しい趣味や成功体験を積む)
  • 安全な環境を確保する(信頼できる人と過ごす)

(4) 心理的支援

  • カウンセリングや認知行動療法(CBT)
  • トラウマ治療(EMDRなど)

5. まとめ

✅ いじめ被害者の脳への影響

  • 扁桃体の過活動 → 恐怖・不安の増大
  • 海馬の萎縮 → 記憶力・学習能力の低下
  • 前頭前野の機能低下 → 感情制御の困難
  • HPA軸の異常 → ストレスホルモンの過剰分泌
  • セロトニンの減少 → うつ病リスクの増加

✅ いじめ加害者の脳の特徴

  • 扁桃体の鈍化 → 共感の欠如
  • 報酬系の過活動 → いじめの快楽化
  • 自己制御機能の低下 → 衝動的な行動

✅ いじめ傍観者の影響

  • 共感ストレス → 不安の増加
  • 道徳的ジレンマ → 罪悪感・ストレスの蓄積

✅ 回復方法

  • ストレス軽減(運動・瞑想・睡眠)
  • セロトニン増加(食事・日光浴)
  • 脳の可塑性を活用(ポジティブ体験・安全な環境)
  • 心理的サポート(カウンセリング・トラウマ治療)

🌟 最後に

いじめは単なる「嫌な経験」ではなく、脳に深刻なダメージを与える科学的な問題です。しかし、脳の可塑性(回復力)を活かし、適切なサポートを受けることで回復する可能性があります。いじめを受けた人は決して自分を責めず、専門的な支援を活用することが大切です。

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    2. (2) 報酬系の過活動
    3. (3) 自己制御機能の低下
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    1. (1) ミラーニューロンによる共感ストレス
    2. (2) 道徳的ジレンマによる前頭前野の疲弊
  • 4. いじめが脳に与える影響の回復方法
    1. (1) ストレスホルモン(コルチゾール)を減らす
    2. (2) セロトニンを増やす
    3. (3) 脳の可塑性を活用する
    4. (4) 心理的支援
  • 5. まとめ
    1. ✅ いじめ被害者の脳への影響
    2. ✅ いじめ加害者の脳の特徴
    3. ✅ いじめ傍観者の影響
    4. ✅ 回復方法
    5. 🌟 最後に
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