「高機能・自閉症」とは、慣習的に知能が平均範囲かそれ以上の方々を呼称してきました。専門家では、診断基準において「広汎性発達障害」や「アスペルガー症候群」との異同が議論されてきましたが、結論に至っておりません。
筆者は東京・銀座という立地において長年臨床を行う中で「超高機能・自閉症」ともいうべき方々と数多く出会ってきました。IQ；120-130以上、有名大学卒業・大学院修了、有名企業就職しながらも、社会との接点において、困難や不具合を生じていらっしゃるようです。それは「自閉症」に伴う「対人関係・社会性の障害」や「言語・コミュニケーションの障害」が微細に生じるからのようです。
例えば、普通の対人関係において予期しうる「喜怒哀楽」を生ずることなく、ワンテンポずれていたり、他の人々と異なるところで反応を生じたりします。このため「あの人は少し変わっている、少しズレている」といった印象を抱かれるようです。言語については、ことさら難しい専門用語を用いたり、ひと昔前の言葉を使ったり、やはり「少しズレている」ようです。流行語や若い人々の使う言葉には疎いため、普段の風貌・服装なども相まって「ダサい」という印象を生じてしまうようです。
しかし、超高機能ですから、自分の専門や得意な分野に関してはスゴイ才能を発揮します。それこそ、辞書か検索を開いたように、よどみなくスラスラと話しが続きます。ただし、聞き手のことを考えず、詳し過ぎる内容まで話してしまうこともあるため、相手は理解できず、一方的に聞かされるという事態に陥ることもあります。いわゆる専門家や学者に多いタイプですね（苦笑）
私が患者さんへよく用いる例えとしまして「スポーツカー」があります。「超高機能・自閉症」の方々は「スポーツカー」のような方々で、ものすごいスピードで走り、急角度で曲がることもできます。しかし、それは「サーキット」において許されることで、「一般自動車道」で行われると周りの人々はビックリしてしまいます。一般の人々は「カローラ」のような普通の車に安心を覚えるもので、「フェラーリ」はたまに観てビックリしても、乗りたいとは思いません。
もし、あなたが「フェラーリ」でしたら、上記を自覚し、一般自動車道を静かに徐行しましょう。決して自慢したいからと「爆音」を立てないで下さい。「カローラ」の皆さまは、「フェラーリ」をバックミラーで確認されたら、速やかに道を譲りましょう。さもないと、アクセルを踏み込まれ、周囲は「爆音」にさらされてしまうのです。これは日曜・昼間の銀座でよくある光景でもあります（笑）
