感染症とは、病原体(=病気を生ずる微生物)が人間の身体に侵入し、諸症状を生ずる病気です。病原体は、大きさや構造にて「細菌、ウイルス、真菌、寄生虫」などに分類されます。病原体が身体に侵入しても、感染症が生ずるかどうかは、病原体の感染力と身体の免疫力との関係によります。
感染しても、症状の現れる場合(顕性感染)と、はっきり現れない場合(不顕性感染)とがあります。不顕性感染の場合、保菌者(キャリア)となり、病原体を無自覚に拡散し、感染を拡げてしまうことがあるため、しばしば問題となります。病原体が、どこから(感染源)、どのように侵入するのか(感染経路)を確認することが重要です。
感染者・動物・昆虫や、病原体の付着した食品が「感染源」となります。具体的には、感染者・感染動物の排泄物・嘔吐物・血液・体液など「保菌者(キャリア)」や感染動物の触れた物体や食品などです。そのため、感染源を「隔離」したり「消毒」したりすることなど必要です。
主な感染経路は、「接触(経口)感染」、「飛沫感染」、「空気感染(飛沫核感染)」の3つです。「接触感染」は、皮膚や粘膜の直接的な接触、ドアノブ・手すり、便座、スイッチ・ボタン等を介して接触することによります。ノロウイルス、ロタウイルス、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌など「感染性胃腸炎」が代表的です。
HIV感染(AIDS)、クラミジアのような性行為による感染は、血液・体液、粘膜などを通し、感染する「接触感染」です。動物に噛まれたり、引っかかれたり、体や糞に触れたりすることによる感染する、狂犬病・トキソプラズマ、蚊・ノミ・ダニなどに刺され感染するマラリアや日本脳炎など、動物や昆虫を媒介として感染する場合もあります。
「飛沫感染」は、咳、くしゃみ・会話などにより飛散した唾液や飛沫に含まれた病原体を吸入することで引き起こされます。飛沫は、直径0.005mm以上の大きさで、水分を含み、感染源から1~2m程度まで拡散します。そこで、マスクの着用や感染源から離れること(三密を避けること)が有効です。飛沫感染の代表は、インフルエンザ、風邪症候群、おたふく風邪、風疹、そして新型コロナです。
飛沫の水分が蒸発した直径0.005mm以下の粒子を「飛沫核」といい、空間に浮遊し、広範に拡散します。「飛沫核」は埃と一緒に浮遊するため、これを吸入・伝播することを「空気感染」または「飛沫核感染」といいます。ノロウイルス、麻疹ウイルス、結核菌などが相当します。その他、母親から胎児・新生児に、胎盤や母乳などを介して病原体が直接伝播される「母子感染(垂直感染)」もあります。
微生物は、ヒトの体内にも生息しています。そのほとんどが細菌で「常在細菌」といいます。皮膚、口や鼻の中、消化管・泌尿器、生殖器(膣)など、外界と接触するところに生息しています。特に腸内は、乳酸桿菌、ビフィズス菌、大腸菌、腸球菌、ウェルシュ菌など、約400~500種類、約100兆個の「腸内細菌」がヒトと共存し、食物を分解したり、ビタミンを産生したり、免疫に関与したりしています。しかし、免疫が低下すると、無害だった常在細菌が感染症を引き起こすことあり「日和見感染」といいます。
「感染症法」は、症状の重症度・病原体の感染力から、感染症を七種類に分類しています。
一類・感染症;感染力・罹患時・重篤性などの総合的・観点から危険性が極めて高い感染症
二類・感染症;感染力、罹患時・重篤性などの総合的・観点から危険性の高い感染症
三類・感染症;感染力、罹患時・重篤性などの総合的・観点から危険性は高くないが、特定の職業に就業すると集団罹患を起こしうる感染症
四類・感染症;人から人への感染はほとんどないが、動物、飲食物などの物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与える可能性のある感染症
五類・感染症;発生動向調査により、必要な情報を国民や医療関係者などにへ提供・公開していくことで、発生・拡大を防止すべき感染症
新型インフル;
指定・感染症;一~三類に準じた対応の必要が生じた感染症(政令指定、1年限定)
新型・感染症;人から人へと伝播し、既知の感染症と明らかに異なり、伝播力、罹患時・重篤度から判断し、危険性が極めて高い感染症
日常生活における予防対策
・十分な睡眠(7-8時間)を摂りましょう
・規則正しい生活(早寝早起)をしましょう
・バランスのとれた食事を摂りましょう
・特にビタミン(野菜)の摂取を心がけましょう
・適度な運動をしましょう
・適宜ストレス発散しましょう(好きなこと)
・不安うつ状態は免疫力を低下させます…
・「うがいと手洗い」を心がけましょう
・部屋の換気を定期的にしましょう
・ウイルスは低温、乾燥状態で安定に存在しますので、温度・湿度を調整し、ウイルスの生息しにくい環境を作りましょう