医療関係者においては常識ともいえる「受容」の5段階を紹介しましょう。そもそも、精神科医:キューブラーロス(1926-2004)がターミナルケアに携わり、200人の患者さんとの面談をもとに著した Naratigve Based Medicine の最高峰ともいえる内容です。この概念は、あらゆる疾患や障害を受容していく際に共通する心理過程と考えられますので、精神科臨床において、多少改変しつつ、ご紹介する次第です。
1.「否認」
大きな衝撃を受け、否認する段階。「仮にそうだとしても、自分は助かるのではないか」といった部分的否認の形をとる場合もある。
2.「怒り」
なぜ自分がこんな目に遭うのかのかという怒りを周囲に向ける段階。
3.「取引」
回復への取引の段階。「神(絶対的なもの)」にすがろうとする時もある。
4.「抑うつ」
取引が無駄と認識し、運命に無力を感じ、抑うつに襲われる段階。全てに絶望を感じ、段階的に「部分的悲嘆」のプロセスへと移行する。
5.「受容」
「部分的悲嘆」と並行し、疾病を受容する段階。最終的に受け容れるが、希望も捨てきれない場合もある。受容の後半に、突然すべてを悟った解脱の境地が現れる。希望ともきっぱりと別れを告げ、疾患受容に至る。