「アカシジア」とは、ギリシア語にて「座っていられない」という意味に由来します。具体的な症状としては、
・「体や足がソワソワしたりイライラして、じっと座っていたり、横になっていたりできず、動きたくなる」
・「じっとしておれず、歩きたくなる」
・「体や足を動かしたくなる」
・「足がむずむずする感じ」
・「じっと立ってもおれず、足踏みしたくなる」などです。
「アカシジア」はパーキンソン症状・錐体外路症状の一つですが、精神医療におきましては、主に抗精神病薬の副作用により生じます。かつては定型抗精神病薬・ハロペリドールにより頻発しましたが、最近では新規の非定型抗精神病薬・アリピプラゾール(エビリファイ)やルラシドン(ラツーダ)でも生じることが確認されており、予断が許されません。
抗精神病薬のなかには、ドパミンの働きを抑える作用をもつものがあります。中脳辺縁系(図のⒶ)に作用することで陽性症状の改善が得られます。一方、ドパミンの機能が低下している中脳皮質系(図のⒷ)にも作用することから、さらにドパミンの機能を低下させ、陰性症状を強めたり認知機能の障害を引き起こしたりすることがあります。また、黒質線条体系(図のⒸ)にも作用することで手足がふるえるなどの錐体外路症状と呼ばれる運動機能障害が、さらにホルモンの分泌に関係する漏斗下垂体系(図のⒹ)に作用することで乳汁分泌や月経障害、性機能障害などの副作用が現れることもあります(統合失調症ナビより)。
むずむず脚症候群も同じ症状を呈します。このため、起始・病歴など詳細にうかがい、鑑別診断を行うことが、治療において重要です。原因は脳内での鉄分欠乏やドーパミンの合成異常が関わっているという仮説が有力です。