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精神医学

社会脳

社会脳(Social Brain)とは?

**社会脳(Social Brain)**とは、人間が社会的な関係を築き、他者とコミュニケーションを取るために進化した脳のネットワークを指します。

人間は社会的な生き物であり、他者の感情を理解し、共感し、適切に行動するための脳の仕組みを持っています。
社会脳の働きがスムーズであるほど、人間関係が円滑になり、逆に社会脳の働きに障害があると**対人関係の困難(ASDなど)**が生じやすくなります。


1. 社会脳の主な機能

社会脳には、以下のような重要な役割があります。

✅ ① 他者の気持ちや意図を読み取る(心の理論)

  • 他人の視点に立って考える能力(「この人は何を考えているのか?」)
  • 例:「相手の表情や声のトーンから、感情を推測する」

✅ ② 共感と感情の調整

  • 他者の喜びや悲しみに共感する能力
  • 例:「友達が悲しんでいると、自分も悲しくなる」
  • これは、ミラーニューロン の働きによるもの

✅ ③ 社会的ルールの理解

  • 文化や社会のルールを学び、適応する能力
  • 例:「会話の順番を守る」「適切な距離感を保つ」

✅ ④ 信頼と協力

  • 他者を信頼し、協力するための仕組み
  • 例:「困っている人を助ける」「チームワークを発揮する」

2. 社会脳を構成する脳の領域

社会脳は、以下の複数の脳領域のネットワークによって機能しています。

🔹 ① 偏桃体(アミグダラ)

  • 役割:恐怖・怒り・危険の察知
  • 社会脳との関係
    • 「この人は安全か?危険か?」を判断する
    • ASD(自閉スペクトラム症)の人は、偏桃体の活動が異常になりやすい → 「相手の表情が怖く感じる」「人との関わりにストレスを感じる」

🔹 ② 前頭前野(Prefrontal Cortex)

  • 役割:判断力・社会的行動の調整
  • 社会脳との関係
    • 「場にふさわしい言動を選ぶ」
    • 「感情をコントロールする」
    • 前頭前野が未発達な子どもや、損傷を受けた人は、社会的ルールを守るのが難しくなる

🔹 ③ 上側頭溝(STS)

  • 役割:他人の視線・顔の向き・動きを認識する
  • 社会脳との関係
    • 「この人はどこを見ているのか?」を理解する
    • ASDの人は、上側頭溝の活動が低下しやすく、相手の目線や表情を読み取るのが苦手

🔹 ④ 側頭頭頂接合部(TPJ)

  • 役割:他者の考えを理解する(心の理論)
  • 社会脳との関係
    • 「この人は何を考えているのか?」を推測する
    • 共感能力に関与

🔹 ⑤ ミラーニューロン(Mirror Neurons)

  • 役割:他人の行動を「自分の脳内でも再現する」
  • 社会脳との関係
    • 「相手が笑うと、自分も笑いたくなる」
    • ミラーニューロンが機能しないと、他者の感情を理解しにくくなる(ASDの人に多い特性)

3. 社会脳と発達障害(ASD, ADHD)

社会脳の発達が不十分だと、対人関係やコミュニケーションに困難が生じることがあります。
特に、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の人は、社会脳の働きが一般の人とは異なることが多いです。

✅ ASD(自閉スペクトラム症)と社会脳

  • 偏桃体の過活動 → 他者の視線や表情が怖く感じる
  • 上側頭溝の機能低下 → 相手の意図を読み取るのが苦手
  • ミラーニューロンの活動低下 → 他者の行動に共感しにくい
  • 結果:「空気が読めない」「相手の気持ちがわからない」「社会的ルールが理解しにくい」

✅ ADHD(注意欠如・多動症)と社会脳

  • 前頭前野の機能低下 → 衝動的に話す・適切なタイミングで発言できない
  • 偏桃体の過活動 → 怒りやすい・感情のコントロールが苦手
  • 結果:「会話のキャッチボールが苦手」「待つことができない」「感情の爆発が起こりやすい」

4. 社会脳を鍛える方法

社会脳の発達には、環境・経験・トレーニングが重要です。

✅ ① コミュニケーションの練習

  • 会話のキャッチボールを意識する
  • 「相手の気持ちを想像する」練習をする
  • アイコンタクトの練習をする(苦手なら少しずつ)

✅ ② 表情・感情の読み取りトレーニング

  • 映画・ドラマを見て、登場人物の感情を考える
  • 「この人は何を考えている?」と意識しながら会話する

✅ ③ マインドフルネス・瞑想

  • 「今ここ」に意識を向ける
  • 感情のコントロール力を高める

✅ ④ 運動(特にチームスポーツ)

  • サッカー・バスケットボールなどのスポーツは、他者と協力する力を鍛える
  • 体を動かすことで、脳の神経ネットワークが強化される

✅ ⑤ 認知行動療法(CBT)

  • 社会的スキルを学ぶトレーニング
  • 「この状況では、どんな対応が適切か?」を考える練習

5. まとめ

社会脳とは、他者とコミュニケーションを取り、社会的に適応するための脳のネットワーク
社会脳には、偏桃体・前頭前野・ミラーニューロンなどが関与
ASDは「相手の感情を読み取る力」が弱く、ADHDは「衝動的な発言」が多くなりやすい
トレーニング(会話練習・表情読み取り・マインドフルネス・運動)で社会脳を鍛えることが可能

社会脳は後天的なトレーニングによって発達させることができるため、適切な学習と経験を積むことで、対人関係のスキルを向上させることが可能です!

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    3. 🔹 ③ 上側頭溝(STS)
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