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精神医学

短期精神病性障害(急性一過性精神病性障害)

期精神病性障害(急性一過性精神病性障害)

精神病症状が急性発症、1日以上持続するが、1ヶ月を超えることのない、精神病状態、その後、完全寛解に至り、病前機能へ戻る、いわゆる急性・一過性・精神病状態です。

心理・社会的ストレスが認められ、時間的な相関がある、比較的・了解可能です。

統合失調症の遺伝素因がある場合、病前に統合失調型・妄想型パーソナリティである場合に生じやすいと考えられています。

幻覚・妄想、まとまりない言動など精神病の主症状の一つは含まれますが、統合失調症の全症状はそろいません。時に情緒不安定、奇異な言動、記憶の障害など認められ、せん妄との鑑別が求められます。

短期性精神病性障害の良好な予後

•急性・一過性であること

•感情障害が主であり、思考障害が認められないこと

•病前適応・集団適応が良好であること

•統合失調型パーソナリティが認められないこと

•無為自閉、感情鈍麻などの陰性症状が認められないこと

•近親者にて統合失調症の遺伝素因が認められないこと

42歳、男性、システム・エンジニア

父方従兄が統合失調症に罹患・入院歴なし・通常勤務、父は物理学者、温厚・誠実であったが、融通きかない、母は明朗ながら、感情的な側面あり、姉45歳はキャリアウーマン、未婚

生来、生真面目ながら父に似て、融通のきかないところあり、社交的と言えないが、友人関係は築けていた、学業成績は良好にて、思春期・青年期は学業に没頭し、「孤高」でいたらしい

某国立大学理学部・大学院修了後、民間企業にシステム・エンジニアとして就職、人一倍働き、表彰されることもあった、32歳、上司の紹介にて見合結婚、一男一女

41歳頃より上司のパワハラに遭い、抑うつ状態が遷延、本人は病気と自覚なく、上司の期待に応えるよう努力を続けた、しかし夜眠れないため、飲酒するようになった

42歳のある晩、自宅にて上司の怒鳴り声が聴こえ、恐れと怒りの感情に襲われた、そして隣に座っていた妻に殴りかかった・・・

42歳、男性、システム・エンジニア

妻は殴りかかれた理由が分からず、ただ恐ろしく、子ども二人を連れ、家を出た、本人は興奮冷めやらず、家具を破壊した後、疲れ、眠りに落ちた

翌朝、本人は目を覚ますと、自分の犯した暴行をおぼろげながら思い出し、「どうしてあのようなことをしたのか」分からず、ただ家を出た妻子に申し訳ないと思い、途方に暮れた

その日から1週間、有休として仕事は休み、精神科を受診した、医師はアルコール・病的酩酊と診断、断酒すれば良くなると伝えた、本人は以来、断酒するも、上司のパワハラは収まらず、うつ状態・遷延、妻子のいなくなった自宅へ独り過ごすようになりつつも、上司への恐れと怒りは続いた

そこで、別の精神科を受診、これまでの経緯;生い立ち含め、詳しく話した、するとアルコールの影響は否定できないが、短期精神病・急性一過性精神病性障害と診断され、抗精神病薬を服用開始した、すると夜間熟睡、昼間も穏やかに働けるようになった、上司のパワハラは続いたが、受け流せるようになった

急性一過性精神病性障害→統合失調症状あり→1ヶ月を超え持続→統合失調症
           →統合失調症状なし→妄想が3ヶ月を超え持続→持続性妄想性障害
                    →幻覚のみ3ヶ月を超え持続→他の非器質性精神病性障害

精神病Psychosisとは

状況により様々な意味で用いられますが、一般社会では精神病=精神障害と理解されやすいです。

精神医学の観点からは、重度の精神障害として理解されやすく、伝統的には神経症が了解可能であるのに対し、精神病は了解不能な発病過程・病状内容であると考えられています。

昨今の操作的診断(ICD,DSMなど)では、幻覚・妄想を伴う統合失調症(かつての精神分裂病)を示唆しています。

ただし、精神病の早期発見・早期治療の観点からは、それほど厳密な定義を求めず、病態水準として用い、診断の厳密さにとらわれず、速やかな治療を提供することを重視しています。

精神病Psychosis水準の定義

以下のAとBを満たすこと

A)精神病水準の強度を有する陽性症状

     ・妄想的確信を有する普通でない思考内容、猜疑心・被害性あるいは誇大性、および・または
     ・幻覚性強度を有する知覚異常、および・または
    ・理解不能な会話

B)基準A)のいずれかの症状が十分な頻度および持続期間、あるいは緊急性

     ・基準A)のうち少なくとも1つの症状が1日のうち少なくとも1時
      平均週4日以上の頻度で1ヶ月出現した
          ・症状が重大な解体を生じている、あるいは危険である

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