LINE を使った受診日時のお知らせを一時的に休止しています。詳しくはこちらをご覧ください。

東京・銀座の心療内科・精神科・メンタルクリニック

オンライン
予約
お問い合わせ
アクセス
診療時間
精神医学

恋愛依存症の発症過程

恋愛依存症の発症過程

恋愛依存症(Love Addiction)は、幼少期の愛着形成の問題やトラウマ、自己肯定感の低さ などが積み重なり、次第に恋愛に過度に依存するようになるプロセスをたどります。
発症の過程は 「幼少期の環境」→「思春期の恋愛経験」→「依存の強化」→「悪循環」 という段階を経て進行していきます。


1. 幼少期(愛着の形成)

恋愛依存症の発症は、幼少期の親との関係(愛着形成) に大きく影響されます。

① 愛情不足(見捨てられ不安の形成)

  • 親の愛情が十分に受けられなかった
    • 幼少期に 親が冷淡、ネグレクト、精神的に不安定 だと、「私は愛されない存在なのでは?」という不安が生まれる。
    • 「愛されるためには努力しないといけない」 という考え方が染みつく。
  • 親の気分に左右される育ち方
    • 親が機嫌のいいときは愛情を与えるが、機嫌が悪いと冷たく突き放す。
    • 「愛は不安定なもの」「見捨てられるかもしれない」という感覚が生まれる

② 過保護・過干渉(自立の阻害)

  • 親が子どもを過度に支配・コントロールする
    • 「これをしないとダメ」「あなたのために決めている」など、過干渉な環境で育つと 「自分で考えて行動する力」が育たない
    • 「誰かに依存しないと生きていけない」 という考え方が身につく。
  • 親が子どもを「特別な存在」として扱う
    • 幼少期に親から過度に褒められ、常に「あなたは特別」と言われ続けた場合、大人になっても 「特別扱いされたい」「愛されて当然」 という感覚が生まれる。
    • → 恋愛においても相手に強く依存し、特別扱いされないと不安になる。

③ トラウマ経験(虐待・親の離婚など)

  • 家庭内暴力(DV)・虐待の経験
    • 幼少期に暴力や罵倒を受けると、「自分は大切にされる価値がない」と思い込む。
    • → 大人になってから「愛されたい」という欲求が過剰になる。
  • 親の離婚・家族の不和
    • 両親の離婚や家庭不和を経験すると、「愛はすぐに壊れるもの」 という恐怖を持つ。
    • → 大人になってから「恋愛相手にしがみつく」ようになる。

2. 思春期(恋愛への執着の芽生え)

幼少期の愛着形成の問題があると、思春期に初めての恋愛を通じて「愛されたい欲求」が強まる

① 初めての恋愛での成功・失敗

  • 愛情不足を埋めるために恋愛を求める
    • 幼少期に満たされなかった「愛されたい欲求」を、初めての恋愛で埋めようとする。
    • → 「恋愛がすべて」「恋人がいないとダメ」という思考に変わる。
  • 失恋がトラウマになる
    • 「愛されること」に過剰な期待を抱き、失恋すると絶望する
    • 失恋の痛みが強すぎると、「次こそは絶対に捨てられない恋愛をする」と思い込む。

② 恋愛への強い依存の始まり

  • 「恋人がいないと自分の価値がない」と思い込む
    • 誰かに必要とされることで安心しようとする。
    • → 「恋愛がないと生きていけない」という感覚が強まる。
  • 尽くしすぎる or 相手を支配しようとする
    • 愛情を失わないために、相手に過剰に尽くす or 相手をコントロールしようとする。
    • → 依存的な恋愛の始まり。

3. 成人期(恋愛依存症の悪循環)

思春期の恋愛経験を経て、恋愛に対する執着がさらに強まる。

① 依存的な恋愛の強化

  • 恋愛がアイデンティティの中心になる
    • 「恋愛している自分」に価値を感じるようになる。
    • → 一人になると極端に不安を感じる。
  • 相手に必要とされることで安心する
    • 相手のために尽くしすぎる or 相手をコントロールする。
    • → でも、相手が離れようとすると極度の不安に襲われる。

② トラブルが増える(恋愛依存の負のサイクル)

  • 「捨てられる恐怖」で相手を束縛する
    • 連絡を頻繁に求める、監視する、過度に嫉妬する。
    • → 相手が重たくなり、関係が悪化する。
  • 失恋で絶望し、次の恋愛を求める
    • 失恋すると「このままでは生きていけない」と感じ、すぐに次の恋愛を探す。
    • → 結果的に、また依存的な恋愛を繰り返す。

4. 恋愛依存症の悪循環

  1. 幼少期の愛情不足・トラウマ
    → 「愛されたい」「見捨てられたくない」という不安が強まる。
  2. 思春期の恋愛で埋めようとする
    → 「恋愛=自分の価値」と思い込む。
  3. 恋愛に依存し、相手をコントロールしようとする
    → 相手が離れようとすると不安になり、束縛する。
  4. 恋愛が破綻し、強い孤独感に襲われる
    「次こそは失敗しない恋愛をしよう」と、また恋愛を求める
  5. 依存的な恋愛を繰り返す
    恋愛のたびに傷つき、さらに依存が強まる

5. まとめ

恋愛依存症は、幼少期の愛情不足や過干渉、トラウマが原因で発症することが多い。
思春期の恋愛で「愛されたい欲求」が強まり、失恋を経験するとさらに依存が強くなる。
「恋人がいないと自分の価値がない」という考え方になり、恋愛に過剰に執着する。
結果的に恋愛が破綻し、さらに新しい恋愛を求める悪循環に陥る。

恋愛依存症を克服するには、「恋愛以外の自己価値を見つけること」 が重要です。
カウンセリングや心理療法を活用しながら、「恋愛がすべてではない」という思考を身につけることが回復への第一歩 です。

この記事は参考になりましたか?

関連記事

  • 恋愛依存症の発症過程
  • 1. 幼少期(愛着の形成)
    1. ① 愛情不足(見捨てられ不安の形成)
    2. ② 過保護・過干渉(自立の阻害)
    3. ③ トラウマ経験(虐待・親の離婚など)
  • 2. 思春期(恋愛への執着の芽生え)
    1. ① 初めての恋愛での成功・失敗
    2. ② 恋愛への強い依存の始まり
  • 3. 成人期(恋愛依存症の悪循環)
    1. ① 依存的な恋愛の強化
    2. ② トラブルが増える(恋愛依存の負のサイクル)
  • 4. 恋愛依存症の悪循環
  • 5. まとめ
  • -->
    PAGE TOP