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精神医学

マゾヒストの心理学

「マゾヒスト(マゾヒズム)の心理学」は、他者から身体的・精神的な苦痛を受けることに快感や満足を感じる状態に焦点を当てています。マゾヒズムという言葉は、19世紀のオーストリアの作家レオポルド・フォン・ザッハー=マゾッホの名前に由来し、彼の著作において登場する受動的な痛みや屈辱を喜びとするキャラクターが由来です。サディズムと対をなす概念ですが、同じように複雑な心理的背景があります。


痛みと快感の混同
マゾヒストは、他者からの痛みや屈辱に対して快感や満足感を感じることが一般的です。身体的な痛みだけでなく、心理的な苦痛や屈辱にも喜びを見出します。このような快感と苦痛の結びつきは、普通の人々には理解しにくいものですが、当事者にとっては強い快楽の源となります。


自罰的傾向
マゾヒズムの一部は、自罰的な傾向を持ちます。これは、過去の罪悪感を緩和するために、自分自身に苦痛を与えることで自己を罰する心理的メカニズムです。この場合、苦痛は一種の自己浄化の手段となり、内面的な葛藤の解消に役立つと感じられます。


権力と支配の放棄
マゾヒストは、他者に支配されることや、従属することに喜びを感じます。これは、権力や責任から解放される感覚を伴うためです。自分自身が他者に支配されることで、安心や快感を得る人もいます。

依存性
マゾヒストは他者に対し依存的な関係を築きます。特に、支配的な人物(サディスト)との関係において、相互依存的なダイナミクスが発生します。この関係は、双方にとって特定の役割や快感を満たす形となります。


マゾヒズムと性的傾向
マゾヒズムは性的な文脈で語られることが多く、BDSM. Bondage, Discipline, Sadism, Masochismの一部として理解されます。性的マゾヒズムは、身体的な拘束や苦痛、心理的な屈辱が性的興奮や快感に結びつきます。ただし、マゾヒズムが必ずしも性的要素を含むわけではなく、心理的な要素に限られることもあります。


マゾヒズムとパーソナリティ障害
マゾヒズムは、自己破壊的な行動や自己犠牲的な傾向と関連します。これらの特性は、依存性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害と結びつき、過度に他者へ依存したり、自己を犠牲にしたりして、関係を維持しようとします。

現代の心理学とマゾヒズム
現代の心理学では、マゾヒズムは単純な異常行動ではなく、複雑な心理・社会的要因によると理解します。幼少期の生育環境、心的外傷・トラウマ、自己肯定感の低さなど(逆境的小児期体験 ACE. Adverse Childhood Experience)が、マゾヒズムを強化します。さらに、マゾヒズムを持つ人々はしばしば内面的な苦しみを、他者へ投影し、それを通じて自分を理解し、制御しようとすることもあります(投影性同一視)。


マゾヒズムは、他者との関係や自己との関係を通じて、快感や安心を求める複雑な心理メカニズムがからんでおり、それを理解するには個々の家族歴や生育歴を十分に考慮することが必要です。

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