スリップ(slip)とは、依存症の回復過程において、一時的にアルコールや薬物などの使用をしてしまうことを指します。ただし、スリップ=完全な再発(リラプス)ではないと考えられます。
スリップとリラプスの違い
項目 | スリップ(Slip) | リラプス(Relapse) |
---|---|---|
定義 | 一時的な使用や逸脱 | 継続的な使用や完全な再発 |
特徴 | すぐに回復のプロセスに戻ることが可能 | 依存行動が元の状態に戻る |
影響 | 軽度の場合もあるが、放置するとリラプスにつながる | 以前の依存レベルに戻る可能性が高い |
対応 | 早めに対策を取ることで回復を続けられる | もう一度治療や支援が必要になることが多い |
スリップの具体例
- アルコール依存症の人が、久しぶりに1杯だけ飲んでしまった
- 薬物依存から回復中の人が、一度だけ使用してしまった
- ギャンブル依存症の人が、ストレスで少額の賭けをしてしまった
これらはスリップに該当しますが、「またやってしまった」と自己嫌悪に陥ることで、「どうせもうダメだ」→ 再び常習化 → リラプス(完全な再発)という流れに陥ることもあります。
スリップしたときの対処法
- 自分を責めすぎない
- 「ダメだった」と思いすぎると、かえって再発につながりやすい。
- 「これは失敗ではなく、学びの機会」と捉えることが重要。
- なぜスリップしたのか振り返る
- どんな状況や感情が原因だったのかを分析する。
- ストレス?孤独?誘惑?どんな環境が影響したのか?
- 支援を求める
- カウンセラー、依存症回復のグループ(AA:アルコホーリクス・アノニマスなど)、信頼できる人に相談する。
- 再発防止の対策を考える
- 同じ状況を避ける。
- 代わりになるストレス発散方法(運動、趣味など)を見つける。
スリップは回復の過程の一部
依存症の回復には波があり、スリップは完全に避けるのが難しいこともあります。しかし、スリップしたからといってリラプスに直結するわけではなく、適切に対応すれば回復は続けられます。
大切なのは、スリップをきっかけに「もうダメだ」と思わず、どう乗り越えるかに焦点を当てることです。