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精神医学

「高次脳機能障害」とは

「高次脳機能障害」とは、「脳損傷」に起因する「認知障害」全般を意味し、 いわゆる「巣症状」としての「失語・失行・失認」のほか「記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害」などが含まれます。

診断基準
主要症状

脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されています。現在、日常生活または社会生活に制約あり、その主原因が「記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害」など「認知障害」です。

検査所見
MRI、CT、脳波などにより「認知障害」の原因と考えられる脳の「器質的病変」が確認されているか、
あるいは診断書により脳の「器質的病変」が存在したと確認できます。

Phineas P. Gage、フィニアス・ゲージ、1823 – 1860

米国の鉄道建築技術者の元職長。25歳時、大きな鉄棒が頭を完全に貫通し、左前頭葉の大部分を破損するという事故に見舞われながらも生還。しかし、その損傷により彼を知る人々は「もはやゲージではない」と言われるほどの人格の変容・障害を呈した症例。

1848年9月13日、25歳のゲージは、作業員の職長として、バーモント州カヴェンディッシュの町はずれで、ラットランド・アンド・バーリントン鉄道の路盤を建設するため、発破を行う任務にあたっていました。爆薬を仕掛けるため、岩に深く穴を掘り、火薬・Fuse(導火線、信管)・砂を入れ、鉄棒で突き固める作業でした。ゲージは午後4時半頃に行なっていましたが、鉄棒が岩にぶつかり、火薬が爆発、鉄棒(直径3.175㎝、
長さ2m31.14㎝)が彼の頭部を貫きました。

ゲージは9月23日から10月3日まで、昏睡状態、「話しかけられない限りほとんど口を利かず、返事も一言のみ。友人や看護者は彼が数時間のうちに亡くなるであろうと予想しており、棺と死装束を準備していた」。しかし、10月7日、ゲージは「起き上がるり、一歩歩いて椅子にたどり着いた」。1ヶ月後に「階段の上り下りができ、家の周りを歩いたり、ベランダに出たりすることもできた」。

事故以前、ゲージは勤勉で責任感あり、部下より「非常に好かれ」、部下はゲージを「雇用主の中で最も仕事ができ、才能ある職長」と見なしていました。しかし、部下は事故後、ゲージを「彼の精神変化があまりにも激しく、元の職位には戻せない」と考えました。

「彼の知的才覚と獣のような性癖とのバランスのようなものが破壊されてしまったようだ。彼は気まぐれで、礼儀知らずで、時に冒涜的な言葉を口にして喜んだり、同僚にもほとんど敬意を示さず、彼の欲望に拮抗するような制御や忠告に我慢できず、ときにはしつこいほどに頑固で、気まぐれで移り気で、将来の操業についてたくさんの計画を発案するものの、準備すらしないうちに捨てられ、他のもっと実行できそうなものにとって代わられるのだった。知性と発言には子供っぽさが見られ、強い男の獣のような情熱を備えていた。事故以前は、学校で訓練を積んでいなかったものの、彼はよく釣合の採れた精神をもち、彼を知る者からは抜け目がなく賢い仕事人で、エネルギッシュで仕事をたゆみなく実行する人物として敬意を集めていた。この視点で見ると彼の精神はあまりにはっきりと根本から変化したため、彼の友人や知人からは『もはやゲージではない』と言ったほどであった」。

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